運転中に強い眠気を催して意識を失い、相手に重傷を負わせる追突事故を起こした男が危険運転容疑で逮捕された。以前から同様の症状による事故を頻発させていた疑いがあるという。

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今年1月に東京都中野区内で発生した重傷追突事故について、警視庁は21日、追突したクルマを運転していた男を危険運転致傷容疑で逮捕した。強い眠気を催す睡眠障害で運転中に意識を失っていた可能性があるという。

警視庁・交通捜査課によると、問題の事故は2018年1月21日の午前7時5分ごろ発生している。中野区本町2丁目付近の都道(片側2車線の直線区間)で、道路左側の路肩に停車していたトラックに対し、後ろから進行してきた軽乗用車が追突。トラックの後方で荷役作業を行っていた40歳の男性が車両間に挟まれ、左足を骨折する重傷を負った。

軽乗用車を運転していた江戸川区内に在住する60歳の男は意識が朦朧とした状態で、事故後の任意聴取では「衝突した際の記憶が無い」などと供述していたが、その後の調べで男は2017年中に12件の事故を起こしていたことが発覚。強い眠気を突然催す睡眠障害の症状で医師の診察を受けていたこともわかった。

男は医師の診察を受けていたものの、継続的な通院治療を怠っていたとみられ、警察では「睡眠障害が発端となった事故」と判断。21日に男を自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致傷)容疑で逮捕している。重度の睡眠障害が原因とみられる事故と認定し、運転者を逮捕するのは今回が初のケースだという。

警察の聴取に対して男は「以前からクルマの運転中に眠くなることはあった」などと供述しているようだ。警察では過去に起きた事故についても状況の精査を進める方針だ。

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強い眠気を突然に催す症状として考えられるのは「ナルコレプシー」だろう。日中(昼間)でも覚醒していることが難しくなり、場所や状況を問わずして眠ってしまうという病だ。

事故に至るような運転中の意識障害としては「てんかん発作」や「低血糖障害」があり、前者については運転免許更新時に症状があることを申告しなくてはならない。

今回が逮捕に至った初のケースとなったが、これまでにも睡眠障害を原因とする似たような事故は発生していたと考えられ、これ以降に発生した事故では睡眠障害も疑われることになるのだろう。