第57回 静岡ホビーショー撮影 中村孝仁

去る5月10日〜14日の4日間、恒例となったホビーの祭典「静岡ホビーショー」が開催された。例年7万人を超える入場者が集まるビッグイベントで、前身となる「第1回生産車見本市」から数えて、今回が57回目となる。

静岡は模型の街として有名で、日本を代表する模型メーカーが集結する街でもあり、その数11社。とりわけプラモデルに関しては、まさに世界の聖地といっても過言ではなく、日本に限れば出荷額ベースで言うと日本市場の88%を静岡が占めているのである。

そんな背景もあって、毎年このホビーショーには国内外から多くの来場者がある。そして、ここは同時に仕入れの場として多くのバイヤーが集まることでも有名だ。各メーカーも新製品を取り揃えてユーザーやバイヤーを待ち受ける。とはいうものの、国内の模型市場は凋落傾向にあって、とりわけプラモデルに関しては日本のみならず、アメリカやヨーロッパも市場が縮小傾向にある。そんな中で東南アジアは躍進しており、今後東南アジアからのバイヤーを含む顧客の増大が見込まれているという。

◆プラモデル業界に激震

今年は実に大きなトピックがあった。それは老舗プラモデルブランドのアメリカ・レベルが、去る4月13日に操業をやめたこと。これは親会社でもあったホビコと呼ばれるアメリカのモデルメーカーが倒産したことに関連する。このため、レベルの輸入元だったハセガワのスタンドからは、アメリカレベルの商品が消え、別会社として存続していたドイツレベルの製品のみが展示されていた。また、ラジコンで有名な京商も、新生銀行系の投資ファンドに買収され、新たなスタートを切るなど、今年は業界に激震が走った中での開催である。

とりわけ不振と言われるプラモデルの新製品は、新しいものがほとんどない。かつては子供のものづくり体験第一歩でもあったプラモデル。時代の流れの中で、その姿を変え始めていた。例えば、スナップキットと呼ばれる商品。これは接着の手間がいらず、パチンとはめ込みながら組み立てが行える商品である。さらにプリペイント、すなわち塗装済みを謳う商品も登場した。外観はプラスチックのモールドそのままではなく、美しく塗装された状態で販売される。究極は塗装も組み立てもいらない、塗装済み完成品まで。ここまで来るとプラモデルとは言えないかもしれない。これらはいずれも青島文化教材社が投入した商品である。

◆クルマは旧車ずらり、ミニカーはレジン製が主流に

またプラモデルでも新たにリリースされる商品は新型のクルマが少なく、もっぱら旧車がその対象になっているのだが、そこには金型費用の償却問題の他に、メーカーに支払うロイヤリティーの増大なども、新製品が出にくい理由の一つのようにも思える。とりわけ、レーシングカーの場合は、車体に貼られているスポンサーメーカーひとつひとつのロイヤリティーが発生するため、より困難を極めると言われる。

ミニカーの世界も大きく変わり始めている。ここで、金型を償却できるほどの販売量が見込めないものに関しては、樹脂のレジンで作られるものが多くなってきた。ざっと見渡してみても、レジン製ミニカーの数はここ数年で劇的に増加している。ただ、レジンの場合、ディテールの良さはダイキャスト以上かもしれないが、ダイキャストモデルのようにドアやボンネットを開くのは難しく、ミニカーの未来も今、分岐点に来ている印象を受ける。

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