ルノー トゥインゴGT《撮影  内田俊一》

小さくて元気のいいクルマには、どうしても★の数が多くなる。えこひいきですかって、ええ、そうですとも。だってこのテのタイプは、どストライクなのだから仕方ない。

エンジンが前ではなく、後部座席の後ろというか下というかの位置に収められたRRの『トゥインゴ』。よって、鼻先が軽く、ノーマルバージョンに試乗した時の印象も、ハンドル操作に対してくいっくい曲がってくれて感激したものだ。さらに今回の「GT」はそれを、ルノースポール(ルノーのスポーツ部門みたいなところ)が手掛けたものだから、これでもかってくらいに、怖いくらいに向きを変える。もともと小さくてホイールベース(前後のタイヤの間隔)も短いもんだから、切れ味するどいカミソリみたいで、運転が下手な私など切り傷だらけだ。

さらに、高速に持ち込むと、がっちりと硬いボディに硬めのシート、ついでにクルマ自体が軽いこともあり、安定感とは真逆の面白さが味わえる。アクセルも踏んだらリニアに加速するため、ラフに適当に踏んでいると、そのまま挙動に現れてヘタなアクセルワークがばれるのなんの。

MTのほかに採用されている6速EDCは、一般的なATと違い、ギアが変速していく感が生々しいほどよくわかるのだが、市街地をそろりと走っていると、ギアがひとつ上がった瞬間にぐっと前に加速する荒っぽさ。特にエコモードを解除してノーマルで走ると、その活きのよさがダイレクトに伝わって怖いようなわくわくするような。アクセルワーク上手にやって、使いこなしてみせるぜ的な自己啓発気分がむくむくと沸き起こるのである。

楽しい。ものすごく楽しい。4ドアで使いやすいし、コンパクトで狭い道も楽々だし、使い勝手のよさは抜群なのだ。キケン、かつ、きわどさを匂わす相手に、女は滅法、弱いのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

ルノー トゥインゴGT《撮影  内田俊一》 ルノー トゥインゴGT《撮影 雪岡直樹》 ルノー トゥインゴGT《撮影 雪岡直樹》 ルノー トゥインゴGT ルノー トゥインゴGT ルノー トゥインゴGT ルノー トゥインゴGT