TRAMIの発足会見《撮影 池原照雄》

日本の自動車メーカーと大手のトランスミッションメーカー計11社が動力伝達システムの基礎研究を共同で行う「自動車用動力伝達技術研究組合」(略称・TRAMI=トラミ)が5月15日、都内で記者会見を開き、研究の狙いなどを明らかにした。

TRAMIは、アイシン・エィ・ダブリュとジヤトコのミッションメーカー2社と、トヨタ自動車や日産自動車など日本の乗用車メーカー全8社(ホンダは本田技術研究所が参画)およびトラックのいすゞ自動車の計11社で、今年4月2日に設立された。組合事務所は東京都に置き、理事長には本田技術研究所の前田敏明上席研究員が就いている。

トランスミッションなど自動車用動力伝達システムの伝達効率をはじめ、音と振動、軽量化技術、電動化などに関する基礎研究を大学・研究機関とともに産学で進めていく。事業費は当初2億6000万円で、テーマごとに参加する組合員企業が負担する。

15日に開いた記者会見で前田理事長は「ドイツでは約半世紀前からエンジンと駆動系の技術組合があり、産官学で研究を進めている。日本でも早急に産学の連携強化が必要だった」と設立の狙いを述べた。また今後、自動車の電動化が進むなか「動力伝達技術は一層重要になる。組合では基礎研究と人材育成を推進し、各社のより良い製品開発に貢献したい」と語った。

自動車技術の開発組合としては2014年5月に、エンジンを対象にした「自動車用内燃機関技術研究組合」(略称・AICE=アイス)が乗用車メーカー8社と日本自動車研究所(JARI)によって設立され、活動を続けている。今回のTRAMIの発足により、パワートレイン全体の共同研究体制が整ったことになる。

TRAMIの前田敏明理事長《撮影 池原照雄》