決算会見の記者の質問に答えるパナソニックの津賀一宏社長(右)《撮影 山田清志》

パナソニックは5月10日、2018年3月期連結業績を発表した。それによると、売上高が7兆9821億円(前期比8.7%増)、営業利益が3805億円(同37.5%増)、当期純利益が2360億円(同58.0%増)と7期ぶりの増収増益となった。

2012年の津賀一宏社長就任以来進めてきた経営再建の成果がようやく実を結んだ形となったが、報道陣の関心は別のところにあり、質疑応答の大半がテスラ問題についてだった。

「テスラという会社を社長はどう見ているのか」。それに対して、津賀社長は「一言で言うと、とにかくスピード優先で、高い目標を掲げてチャレンジ、チャレンジ、チャレンジを繰り返す、われわれとは異質の会社」と話す。

そんなテスラとパナソニックは米ネバダ州で巨大な電池工場「ギガファクトリー」共同運営する。パナソニックがセルと呼ばれる円筒形の電池をつくり、テスラがそれをパッケージ化してEV『モデル3』に積む。ところが、テスラが電池のパック化の工程で苦戦して、思うようにモデル3の生産ができないのだ。

その結果、テスラの経営環境は厳しさの一途をたどり、18年1〜3月期の最終損益が7億0955億ドル(約760億円)の赤字と四半期としては過去最高の赤字を計上してしまったのだ。そのため、報道陣から「大丈夫か」という声が出るのも無理もない。

「テスラは引き続き多くの受注残を抱えている。量産の立ち上げに少し手こずっているが、若干の月ずれや期ずれはあっても、今後は確実に生産台数が上がっていくと見ている。われわれとしては、急に生産台数が増えてきた時に対応できるようギガファクトリーを中心にしっかり準備を進めていきたい」と津賀社長は楽観視している。

しかし、楽観視していていいのだろうか。その裏には、これから車の電動化がさらに進み、車載用電池の需要が大きく伸びて同社の電池が引く手あまたになるという読みがあるようだ。いずれにしても、パナソニックにとって、テスラはいまのところ喉に刺さったトゲと言っていいだろう。

パナソニックの決算会見の様子《撮影 山田清志》