日産自動車の会見風景《撮影 山田清志》

日産自動車は4月20日、本社役員会議室で日本事業中期計画についての記者会見を行った。その中で、国内のカーシェアリングビジネスが予想以上に好評で今後強化していく考えを明らかにした。

日産は1月15日から「e-シェアモビ」というカーシェアリングビジネスを展開している。使用車両は電気自動車の『リーフ』とe-POWERを搭載する『ノート』『セレナ』だけで、ガソリン車は入っていない。もちろんその狙いは日産の電動車両の良さを分かってもらおうというものだ。

「実際にシェリングを始めてみると、予想以上の驚きがあった」と日本担当の星野朝子専務執行役員。日産ではレンタカーサービスも行っており、それと差別化するため、レンタカーでは時間、日単位で借りられるのに対し、カーシェアでは15分単位で借りられるようになっている。料金についても、短時間ならカーシェアのほうが割安だが、1日以上借りる場合はレンタカーのほうが割安に設定している。

そのため、日産では当初、1日以上借りたい人はレンタカーを利用するものと考えていた。ところが2日間とか、2泊3日でカーシェアを利用する人が少なくなかったのだ。「そういう人たちにヒアリングしたところ、夜中に借りて夜中に返すことが可能で、しかも予約して免許証をかざすだけでカギが開くので非常に便利という声が多く、私たちのカーシェアを高く評価してくれるお客さまがいることが分かった。これは私たちのグッドサプライズだった」と星野専務は話す。

また、アジア・オセアニアを担当するダニエレ・スキラッチ副社長は「e-シェアモビの5割強のお客さまは車を所有していなく、試し乗りをするお客さまが多いのです。しかも、実際に乗ってもらうと、これは従来にない技術だと気づいてくれる。それで車を買おうと考えていなかったお客さまが心変わりをして、実際にリーフやe-POWER搭載車を買ってくれたお客さまもいた」と嬉しそうに話す。

現在、eシェアモビを利用できる拠点は日産ディーラーや日産レンタカーなど30ほどだが、2018年度末までに500拠点に拡大していく方針で、すでに需要の高い地域を選定済みだという。「このビジネスモデルは駐車場がキーになるので、販売会社の駐車場を利用しつつ、500拠点ぐらいに拡大していこうと考えている」と星野専務は説明する。

そうなると、レンタカーの存在感がなくなってしまうという心配が出てくるが、レンタカーは訪日外国人によって需要が急拡大中で、特に北海道や沖縄、京都で伸びているそうだ。星野専務は「今後、レンタカーとカーシェアリングを利用するお客の層はかなり違ってくる」と見ている。

日産自動車のダニエレ・スキラッチ副社長《撮影 山田清志》 日産自動車の星野朝子専務執行役員《撮影 山田清志》 e-シェアモビ