富士山麓を通る有料道路で、外国人観光客の乗った観光バスとワゴン車が正面衝突する事故が起きた。この事故で双方の18人が重軽傷を負った。ワゴン車側のハンドル操作ミスが主因とみられている。

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19日午後4時25分ごろ、山梨県鳴沢村内の県道を走行していたワゴン車が対向車線側へ逸脱。対向してきた大型観光バスと正面衝突する事故が起きた。この事故で双方の18人が重軽傷を負っている。

山梨県警・富士吉田署によると、現場は鳴沢村富士山付近で、片側1車線のカーブが連続する区間。ワゴン車は富士スバルライン(有料道路)の4合目付近を5合目に向けて進行していた際、カーブを曲がりきれずに対向車線側へ逸脱。5合目から下ってきていた大型観光バスと正面衝突した。

衝突によってワゴン車は中破。運転していた東京都新宿区内に在住し、韓国籍を持つ52歳の男性と、同乗していたインドネシア国籍を持つ女性2人が骨折などの重傷。インドネシア国籍を持つ他の同乗者8人も打撲などの軽傷を負った。バスには中国からの観光客やガイド29人と、岡山県岡山市内に在住する71歳の男性運転者が乗車していたが、このうち客7人が打撲などの軽傷を負い、いずれも近くの病院へ収容されている。

現場は急なカーブが連続する区間。聴取に対してバスの運転者は「ワゴン車がカーブで大きく外れてきて、避けることができずに衝突した」などと供述しており、警察ではワゴン車を運転していた男性の回復を待ち、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失傷害)容疑で事情を聞くとともに、事故発生の経緯を詳しく調べている。

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一昔前と比べたなら、日本を訪れている外国人観光客は確実に増加しており、今では彼らを示す「インバウンド」という言葉も珍しくなくなった。今回の事故はバス側に中国からの観光客、ワゴン車にはインドネシアからの観光客が乗車しており、事故に関係した当事者の中に「日本人は1人しかいない(バスの運転者のみ)」という状況だったという。

負傷者が発生した場合、言葉の壁も問題になってくるであろうし、「英語はなんとかなったとしても他の言語は…」ということもまた珍しくないだろう。外国人が運転するレンタカー同士が関係する事故も北海道や沖縄などで増加する傾向にあり、警察としても多言語対応が求められる時代になってきた。