ニュル現地での「予選レース」に参戦したSUBARU WRX STI。《写真提供 SUBARU / STI》

今年もニュルブルクリンク24時間レース(5月12〜13日決勝)に参戦するスバル/STI陣営は、4月14〜15日、現地での「予選レース」に今季型ニュル24時間仕様のWRX STIで出走したが、苦闘の末、残念ながら駆動系トラブルでリタイアに終わった。陣営は本番での巻き返しを見据える。

ニュル現地での予選6時間レースに、WRX STIはカルロ・ヴァンダム、ティム・シュリックの両ドライバーがステアリングを握る布陣で出走した。すると、まずエキゾーストの排気音量が規定値を超えている、という通告をオフィシャルから受ける予想外の事態が発生。ショートシフトで対応するという苦境を強いられてしまう。

この排気音量の問題は、「新しいギヤボックスがローギヤードな設定となっていることとエンジンの改善が合わさって、音量が上がった可能性があります」(辰己英治監督)。予選レースの“予選”におけるラップタイムは9分7秒台。今年の目標である9分以内への挑戦は難しい状況だったが、全力を出しきれなかったことを考えれば、伸びしろはあり、との見方もできそうだ。

しかし今回の予選レースでは苦難が続く。“決勝”では、タイヤに関して国内テストでは発生していなかった問題が生じる(これはタイヤ本体の問題ではなく、トレッド拡大と車体側のセットアップによる影響だったと判明)。そしてレース終盤には新仕様のギヤボックスが壊れ、レース続行断念に。陣営は「実績ある昨年仕様のギヤボックスの新品」(辰己監督)で本番レースに臨む意向を示している。

辰己監督は「今回出たトラブルはどれも予想していなかったものでしたが、それが今回発見できたこと、これが最大の収穫でした。24時間レースで発生していたら、クラス優勝は達成できません。そういう意味では、良いテストができたと思っています」とコメント。4月20日には井口卓人と山内英輝の布陣で現地テストデーに臨む予定であり、「もちろんテストまでにトラブルの対策は完了する予定です」とも語っている。

現地での船出が厳しいものとなったことは否定できないが、辰己監督も言うように本番の前にトラブルを出すことができたのは間違いなく収穫でもある。このリタイアを糧に、本番での2年ぶりのクラス優勝達成へ向け、再加速を期待したいところだ。

ニュル現地での「予選レース」に参戦したSUBARU WRX STI。《写真提供 SUBARU / STI》 ニュル現地での「予選レース」に参戦したSUBARU WRX STI。《写真提供 SUBARU / STI》 ニュル現地での「予選レース」に参戦したSUBARU WRX STI。《写真提供 SUBARU / STI》 ニュル現地での「予選レース」に参戦したSUBARU WRX STI。《写真提供 SUBARU / STI》 ピット作業にあたるチームクルー。《写真提供 SUBARU / STI》 予選レースに臨んだSTI陣営。《写真提供 SUBARU / STI》 STI陣営の辰己英治監督。《写真提供 SUBARU / STI》