吉田総監と並んで横断歩道を渡る訓練に参加した台東区立忍岡小学校の新1年生たち《撮影 中島みなみ》

春の交通安全運動が始まった。今年は6〜15日の10日間。10日の交通事故死ゼロを目指す日をはさみ、全国で事故防止活動が展開される。東京都では警視総監による新入学児童への横断訓練が実施された。

台東区池之端にある区立忍岡小学校で6日に開催された訓練には、警視庁の吉田尚正警視総監が新1年生の手を取り、近隣にある横断歩道を渡り、服部征夫区長、吉藤玲子校長と保護者も新しい服を着た子供たちと連なった。

新入学・進学の子供たちを守ることは、交通安全では最優先の課題だ。内閣府が掲げる交通安全運動中の目標にも「子供と高齢者の安全走行の確保」がある。警視総監による横断訓練は毎春実施され、今年で43回目。1976年のスタートだ。

入学式を終えて参加した新入学児童に吉田総監は「横断歩道では手をあげて、信号を見て、左右を確認」と注意事項を説明。緊張する子供に腰を落として、左右の確認を指さしながら教えた。ただ、歩行者が注意するだけではなく、運転者の慎重な運転も必要だ。

横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいる場合、車両が一時停止して歩行者を優先させて横断させる義務がある。交通安全運動期間中に限らず、横断歩道での歩行者保護は、警視庁が特に力を入れる項目の1つだ。

昨年の都内の交通死亡事故の約46%は、歩行中に起きている。この割合は全国的に見ても高い。歩行中になくなった被害者の年齢を見ても10代が0人であったのに対して、10歳未満は4人と目立っている。さらに、歩行中の事故の中でも横断歩行中の事故は約72%にのぼり、横断歩道での事故を防ぐことが、事故防止の効果を上げることがわかっている。

吉田総監の隣を歩いた新1年生の保坂旭宏君は「いっしょにわたって勉強になりました」と、大役を果たして横断歩道をわたる注意をかみしめていた。