VW パサートTDI《撮影 雪岡直樹》

長距離での移動の多い人にとっては、待望のディーゼル投入である。メルセデスベンツ、BMWが日本市場でディーゼル搭載車のシェアを確実に上げる中、ワーゲンファンには待ってましたの登場だろう。

『パサート』のよさは、シンプルでさりげないところ。そしてなによりも、伸びやかなボディで荷室も広く遊び道具を満載にできるところだ。ドアハンドルに手をかけて、ドアを開けたときに感じられる、いかにもしっかり作っています的な重厚な雰囲気もたまらない。このクルマに守られながら走るときの安心感は格別だ。

しかしながら、肝心のディーゼル・エンジンの印象は今一つである。

まず、信号待ちなどの停車時の音が大きい。このクラスになると、ライバルはしっかりと遮音対策を施してあり、運転席でディーゼルを感じることはほとんどない。だというのにパサートの場合、ディーゼルを突き付けられるカラカラ音が耳に届くのである。アイドリングストップ機能がついているため、エンジンが停止してくれればもちろん音はしないのだが、状況によってはエンジンは停止しない。

そして、一番のダメだしポイントは、ディーゼルならではのトルク感がうすいこと。ディーゼルに期待するのは、アクセルを踏むと同時に、ボディの重さや大きさを感じさせずにぐいぐいと進む力強さだ。けれど、それがあまりない。

スポーツモードに入れると全体的にエンジン回転数が高く保たれ、走りは力強くなるものの、どちらかというとそれは回転数でひっぱる高回転型スポーツカー的な感覚で、トルク感ではないのである。高回転型スポーツカーな感覚がいけないわけじゃない。でも、アクセルを踏んでいって、えいえい一所懸命に走るような乗り心地は、ディーゼルのよさとはちょっと違う気がするのだ。

満を持して投入されたディーゼルエンジン。でも、このクルマに興味があり、ディーゼルのトルク感を求めているのなら、一度、試乗して確かめることをお勧めしたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

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