トヨタの自動運転実験車(レクサスLSベース)

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2018年3月22日付

●18年度新車販売3年ぶり減へ(読売・9面)

●三菱自TOB終了、三菱商事(読売・9面)

●全日空、アリタリアと提携、近く発表へ、航空連合の枠超え(読売・9面)

●トヨタ、路上試験見合わせ(朝日・4面)

●排ガス不正疑い、BMW本社捜索、ドイツ検察(毎日・6面)

●大卒採用、来春9.3%増、IT人材争奪激しく、本社調査(日経・1面)

●特許の国際出願、中国日本抜き2位、昨年、4万8882件(日経・1面)


ひとくちコメント

米ライドシェアサービス大手のウーバー・テクノロジーズの自動運転車が、米アリゾナ州フェニックス近郊で試験運転中に起こした死亡事故の波紋が広がっている。

ウーバーに出資しているトヨタ自動車は米国の公道で実施していた自動運転車の走行試験の一部中断を発表。試験車両に乗る運転手への心理的な影響を考慮したのが理由で、試験の再開時期は未定という。

きょうの毎日などが共同配信の記事として取り上げているが、トヨタの米子会社トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)では高級車ブランド「レクサス」の最上級セダン『LS』をベースにした車両を使い、中西部ミシガン州と西部カリフォルニア州で公道試験を実施していたという。

全ての操作をシステムが担う完全自動運転の実現に向けた試験と、緊急時だけ自動運転システムが運転手を支援する試験の2種類があるが、今回中断したのは、完全自動運転の試験だそうだ。

ウーバーの自動運転車が、公道試験中に事故を起こしたのは現地時間で3月18日夜。死亡したのは40代の女性で、自動運転車による初の歩行者死亡事故として、日本のメディアなどでも大きく報じられていた。

記事によると、実験車は自動運転モードで走行中だったが、安全のために運転手が乗っていたという。それなのになぜ事故を防げなかったのか。事故の原因究明が待たれるが、懸念されるのは今回の死亡事故を契機に自動運転技術に対する慎重な見方が強まり、実用化に向けた開発が後退する可能性もあることだ。

ただ、自動運転といっても「完全」ではなく、運転席にもドライバーがいる安全走行のための運転をアシストする技術の開発は欠かせない。だが、まるで無人でも自動運転で目的地まで走行できる「夢のようなクルマ」を先取りして、投資家向けなどの情報として派手に持て囃していたのはむしろメディアであり、その過熱報道ぶりには目に余るものがあった。