試作セルの外観写真

GSユアサは3月6日、金属シリコン電極開発によるリチウムイオン電池の高エネルギー密度化技術の改良に成功したと発表した。

負極材に用いる金属シリコンは、理論容量が4200mAh/gと高く、資源量が豊富であることから、リチウムイオン電池の新規材料として多くの研究が行なわれてきた。しかし、充放電にともなう体積変化が約400%と大きいために、充放電を繰り返す過程で劣化が生じる。その結果、充放電効率およびサイクル寿命特性が乏しく、特に長期での使用が前提となる電動化車両用の大型電池では、金属シリコン電極の実用化は困難とされてきた。

同社は、金属シリコンを用いた電極の好適な粒子径および電極組成などを見出すことで特性を改善。電気自動車(EV)に搭載されるサイズの電池において、従来のリチウムイオン電池に対して約3倍となる高エネルギー密度化技術の改良に成功した。なお、金属シリコン電極は今後の技術革新と普及が見込まれる全固体電池へも適用が可能だ。

GSユアサは今後、金属シリコン電極のサイクル寿命特性をさらに改良し、2025年頃の電動化車両への適用を目指す。

金属シリコン電極の模式図 金属シリコンをもちいた高容量リチウムイオン電池の充放電曲線