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神戸製鋼所は、アルミ・銅製品などの品質データを改ざんしていた問題に関して外部調査委員会による調査が完了し、報告書を公表した。

それによると不正な製品の出荷先は525社としていたが外部調査委員会による調査の結果、アルミ板やアルミ鋳造部品、銅管などで新たな不適切行為が発覚した。納入先は163社。このうち、129社で安全性の検証が完了している。

以前公表した不正品を納入した525社のうち、520社で安全性の検証が完了している。

不適切行為の具体的内容は、顧客と決めた仕様を満たさない検査結果について満たす数値に改ざんする行為や、実際に測定していないにもかかわらず、測定したかのように試験結果をねつ造する行為など。

外部調査委員会による調査の結果、不適切行為全体を通じて役員の関与が認められたのはアルミ・銅事業部門のみだった。具体的には執行役員2人が不適切行為が行われていた工場での勤務経験があり、当時、不適切行為に直接関与したことはなかったものの、行為を認識しており、これを自身の上司であったアルミ・銅事業部門長などに報告していなかった。また、他の執行役員1人は昨年4月、不適切行為が行われていることを認識したが、規格外れの発生、規格外製品の出荷を徐々になくしていくことを基本方針として決定し、製造工程の改善や受注の一部停止を指示するにとどまっていた。過去の役員では取締役・執行役員2人が役員就任以前に不適切行為に直接関与し、役員就任後も取締役会に報告せず、中止・改善措置もとっていなかった。

不正行為の原因については収益偏重の経営と不十分な組織体制、バランスを欠いた工場運営と社員の品質コンプライアンス意識の低下、不適切行為を容易にする不十分な品質管理手続の3つに集約されるとしている。

外部調査委員会からの提言も踏まえて同社が策定した再発防止策では、取締役会の公正性と透明性の向上を目的に、独立社外取締役の構成比を3分の1以上とする。会長職を廃止するとともに、独立社外取締役の中から、取締役会議長を選出し、任意の諮問機関「指名・報酬委員会」を設置する。全事業部門長を取締役とする構造を見直し、素材系1人、機械系1人、電力1人の構成としコンプライアンスを総括する取締役、品質を総括する取締役をそれぞれ配置する。

また、事業部門間での人事ローテーションを実施することで組織の閉鎖性を改善する。品質ガイドラインによる事業所の品質保証マネジメントの強化、品質管理部を事務局とするグループ品質リーダー会議を開催する。

試験・検査記録の自動化を進めるとともに、データ入力の1人作業をできるだけなくす。出荷基準の一本化で、顧客と社内の二重出荷基準に起因する不適切行為の機会を排除する。新規受注時の承認プロセスを見直し、顧客仕様に対する自社の工程能力を受注時に把握できる仕組みを整備する。