キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》

GMのミッドサイズSUV、キャデラック『XT5 クロスオーバー(以下XT5)』は、キャデラックが今後提供する“XT”の名を付した、クロスオーバーの最初の1台である。今回試乗したのは上級グレードの「プラチナム」だ。

XT5に搭載されるエンジンは3.6リットルV型6気筒で、314ps、368Nmを発揮し、8速ATが組み合わされる。なお、全モデルAWDが採用されている。

今回の試乗は、およそ30分のものであったため、第一印象をまとめたものである。

走り始めると、非常にスムーズであることが大いに気に入った。特にV6と8速ATは最適なチューニングがなされており、街中でも高速でも十分に満足できるものである。最近ダウンサイズ化が進み、トルクが細くなったエンジンが多くなってきたが、このエンジンはトルクを有効に使い、重厚感のある走りを提供してくれる。また、ツーリングモードを選択すれば、リアドライブユニットとの接続を解除して燃費性能の向上と、排出ガスの低減を図るという。つまり、FFでの走行も可能なのだ。今回試乗全般を通じ、このツーリングモードを選択したが、特にFFの癖を感じることはなかった。

ただし、乗り心地に関してはベストとはいえず、高速においては若干ふわついた印象が残り、かつ、一般道での段差や凸凹などは腰に突き上げを感じるので、車格にあう乗り心地とはいえない。ボディはしっかりしているようなので、サスペンションチューニングで大きく改良が出来そうだ。

ロードノイズは非常に静かで、荒れた路面でもほとんど気にならないレベル。また、アイドリングストップはスムーズに介入し、ブレーキサーボへの影響は全くなく、ブレーキングで気を遣うことは皆無だった。そのブレーキは2トン弱のボディをしっかりと受け止めている。

乗り心地には少々がっかりしたが、それ以外の面ではV6ユニットがもたらすフィーリングをはじめ、キャデラックに見合った心地よさを提供してくれた。

冒頭にグレードの話を述べたが、スタンダードの「ラグジュアリー」との差は主に装備である。ただし、エマージェンシーブレーキシステムのリア側の有無や、アクティブクルーズコントロール、サラウンドビジョンなど安全装備の差もある。本来であれば、安全面での装備差はあってはならないことだと思うのだが、購入時には十分検討することをお勧めする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

内田俊一(うちだしゅんいち)|日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員
1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラと同じくルノー10。

キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》 キャデラック XT5クロスオーバー《撮影  内田俊一》