交通違反の摘発を逃れようと、パトカーを振り切って走り続けたクルマによる当て逃げ事故。逮捕された男は酒気帯び運転の発覚を恐れ、逃げていたことがわかった。

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2月上旬、兵庫県西宮市内でパトカーの追跡から逃れようとした際、前方で信号待ちをしていた車両3台に当て逃げしたとして、兵庫県警は26日、このクルマを運転していた男をひき逃げ容疑で逮捕した。

兵庫県警・甲子園署によると、問題の事件は2018年2月9日の午前3時30分ごろ発生している。西宮市津門大塚町付近の国道2号を同署員がパトロールしていたところ、無灯火状態で信号待ちをしている乗用車を発見。職務質問しようと停車を命じたところ、クルマはこれを無視して逃走した。

署員はパトカーによる追跡を開始したが、逃げるクルマは約2kmに渡って走り、西宮市甲子園口付近で信号待ちをしていたタクシーなど3台に次々と衝突。これらの運転者に軽傷を負わせたが、そのまま逃走を続けた。

警察では軽傷ひき逃げ事件として捜査を開始。周辺捜索を実施したところ、神戸市東灘区内で前部が損壊したクルマを発見して抑止。このクルマが事件に関わったものと判断して運転していた大阪府大阪市内に在住する20歳の男から任意で事情を聞いていたが、容疑が固まったことから26日に自動車運転死傷行為処罰法違反(過失傷害)や道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕した。この事故では男のクルマに同乗していた2人も軽傷を負っていたことが判明している。

警察の聴取に対して男は「飲酒運転の発覚を恐れて逃げた」などと供述しており、警察では飲酒した場所や量の特定も行うなど、事故発生の経緯を詳しく調べている。

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パトカーに「不審車両」と認識されることになった発端は飲酒運転特有のふらふら走行ではなく、停車中の無灯火状態だった。酒気帯び状態になるとクルマの運転だけでなく、それに付随した基本的な操作もできなくなることが多々であり、そうした状態を発見すると職務質問を行うというが、今回はその典型例だったようだ。