日産リーフ《撮影 野口岳彦》

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2018年2月21日付

●G20大阪で来年開催(読売・1面)

●三菱自株、商事が買い増し、新興国の販売支援へ、1200億円でTOB(読売・8面)

●「裁量労働」施行延期検討、厚労省、現行予定から1年(毎日・1面)

●ウーバー配車全国展開、CEO表明タクシー各社と提携(毎日・6面)

●「品質管理おごり」三菱電線データ不正、調査委が報告(毎日・6面)

●トヨタ新型磁石を開発(毎日・7面)

●三菱電機社長、杉山氏が昇格、柵山氏は会長へ(毎日・7面)

●米軍機、湖にタンク投棄、青森、離陸直後エンジン火災(産経・1面)

●JR東労組、スト可能性、厚労省に通知「運行支障なし」(産経・2面)

●この人、トヨタの変革に挑む生え抜き女性役員、加古慈さん(東京・3面)

●給油所でEV充電、規制緩和、地域の拠点再生、経産省(日経・1面)

●ウーバーCEO「成長偏重から協調へ」自動運転EV、将来の主流(日経・3面)

●トヨタ、鋼材価格横ばい、18年度上期、部品会社向け(日経・15面)

●純利益予想の上方修正率、資源やハイテク上位、アップル、トヨタの2.3倍(日経・17面)

●静岡経済特集、次世代車世界へ、EV・AI開発アクセル(日経・28面)


ひとくちコメント

都心を離れた地方をドライブしていると、看板がずれ落ちて廃業に追い込まれたとみられるガソリンスタンド(給油所)をよく見かけるが、そうした厳しさを増す給油所の経営を支援するために、経済産業省が、その規制緩和に乗り出すという。

きょうの日経が「給油所でEV充電」との大見出しで、1面トップで報じている。それによると、「電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に必要な電気や水素を供給できるように施設の設置基準を緩めるほか、コンビニエンスストアなどを敷地内に設置できるようにもする」そうだ。

2月22日には、石油やガスの業界団体、有識者などを集めた研究会を立ち上げ、総務省消防庁や小売業者からも意見を行くというようだ。

給油所は、ピークの1994年度末に全国で6万カ所を超えていたが、現在はほぼ半減しいている。ドライブを好まない若者らの増加などマイカー離れとともに、ガソリンの使用量が少ない環境対応車の普及などが痛手となって、経営を圧迫しているという。

現在の規制では、EVやFCVの燃料供給は、給油スペースから最低でも10メートルほど離れた安全な場所にしか設置できないとしているが、これを安全性への検証を進めつつ規制を緩和し、手狭な場所でも併設できるようにするという。

厳しさを増している給油所を、国が規制緩和などで再生を狙う方針で、とくに、EV向けの充電設備などを新設するスタンドがよみがえることは、常に航続距離を心配しながらハンドルを握らざるを得ないEVのドライバーらにとっても朗報である。

ただし、である。日経の記事では触れていないが、果たして、給油所がEV向けの充電設備を併設しても経営環境が改善するのだろうか。設置のための投資が膨らむほか、ガソリンの給油ならば、2〜3分で終わるが、EVは急速充電でも最低20分以上も費やされる。しかも、電気代を含めた使用料は満タンのガソリン料金よりも安くなる可能性もある。地方の広いスペースの給油所でもEV向けの設備が少ないのは、儲けが薄いからだろう。

どうも、次世代自動車の普及を名目に、ドライバーが負担する自動車諸税をベースに補助金行政で給油所の再生をはかるという、やりたい放題の安倍政権の意図が読みとれる。