「自動車向け安心・安全ライティング」ではアニメーション風に動きのある照射をすることで後方にいる人やクルマに気付きやすくした

三菱電機は、2月14日、同社本社において研究開発成果披露会を開催し、自動車関連で構成される「スマートモビリティ」として4つの関連技術を公開した。ここではそのうちの「自動車向け安心・安全ライティング」を紹介する。

「自動車向け安心・安全ライティング」は、昨年開催された東京モーターショー2017で公開された、光でクルマ側の動きを事前に周囲の歩行者や車両に伝えて事故を未然に防ごうとする技術。今回披露したのはその技術をベースに、新たに「アニメーションや車外センサーを活用して分かりやすい注意喚起を実現」する機能を追加した。また、これと合わせて「表示図形の見え方を検証できる設計ツール」も公開した。

新たに加わった機能では、従来のような単に照射する方式からアニメーション風に動きを見せるようにすることで、後方にいる人へ気付きやすくするメリットがある。特に効果が大きいのは積雪や悪路などで路面に凹凸がある時。照射している光が静止している時と比べて、アニメーションで照射すると明らかに効果の違いが分かる。従来のバックランプは車両側で点灯するだけで、スマホを見ながら歩いている歩行者は気付きにくい。この機能なら歩行者に伝えやすくなるというわけだ。

この披露会では、既に東京モーターショーで公開された「ドア開け・後退時に車外センサーと連動してより注意を喚起する表示」も紹介された。ドアを開けようとした際に後方がクルマや人などが近づくとドアノブライトを点灯。運転者が不用意にドアを開けるのを防止する。また、この機能はドライバーがシートベルトを外して車内からドアを開けようとすると、ドアと車両の後方の路面にそれを知らせる表示が照射される。特に後方から近づいて来る自転車や歩行者に極めて有効な方法と言えるだろう。

また、この機能は夜間だけの効果を狙ったものではない。昼間は気づきにくいという懸念から、車体のリアガーニッシュ部に路面と同じデザインを表示させる配慮も行っているのだ。ただ、課題もある。三菱電機デザイン研究所産業システムデザイン部車載情報機器グループの松原 勉氏によれば、「現在の道路運送車両法では、決められた以上のライトを点灯させることは許可にならない。(その改正のためにも)この機能の有効性が理解されれるよう訴えていく必要がある」という。

車両がバックしようとした際、歩行者の動きに合わせて警告表示がクルマのガーニッシュと路面に照射される シートベルトを外し、ドアを開けようとすると車両後方にはそれを知らせる警告表示が路面に照射される ドアを開けた際にも、その開度に合わせた幅で警告を表示できている 会場ではシミュレーターによってわかりやすい説明が行われた シミュレーターの隣には、開発者向けの「表示図形の見え方を検証できる設計ツール」も展示。アングルやデザインによる見え方の違いをひと目で確認できた