スズキ スペーシア《撮影 吉田瑶子》

やけに堂々としたデザインに変身した『スペーシア』である。先代が、さらっとして、ちょっと頭でっかちな雰囲気があったのに対し、ウェストライン(窓枠の下端あたりね)を上げ、どっしり感を倍増させている。全高は1785mmと雑誌モデル並みに高く、一般的な立体駐車場には入れないけれど、このクルマを選ぶ人たちの行動範囲であれば、高さ制限より車内の広さ感だろう。

実際、ドアを開けたとき、運転席に座った時の広さと明るさといったらない。シート位置も高くて、ふ〜わ〜とおかしな声を出しながら、窓の外を見渡してしまう。

落ち着きをとりもどしつつ、よくよく見ると、天井の後ろの方に、クルマの外(ボディの後ろ)が見られるミラーがついていたり、左側のAピラー(フロントウィンドーの枠)に、左前のタイヤ周辺、ドライバーの死角になっているあたりが映し出されるようにミラーがついていたり。そのほかにも、カーナビにアラウンドビューモニターが映し出されたり、ヘッドアップディスプレイで車速や現在のギアが表示されたりと、子どもをつれている家族層をターゲットとしたこのクルマならではの安全性への配慮がここかしこについていて、日々、奮闘するママへの気遣いに、代わって御礼を言いたい気分だ。

走りもスムーズだし、マイルドハイブリッドの燃費のよさも評価に値する。だけど、ネガティブポイントもあげておこう。

(1)ドラポジがとれない。
コンパクトカーのほとんどがそうなのだけれど、ハンドルが遠いので運転しにくい。これ、軽自動車&コンパクトカー業界がタッグを組んで、改善できないものなのだろうかと本気で思う。

(2)ブレーキに違和感あり
ハイブリッドカーの場合、停止直前のブレーキの利き具合をどう味付けするかはむずかしいのだが、スペーシアも、踏んでいる力に対して、止まろうとする力がきゅーっと強くなっていく違和感がある。強くなるだけならいいのだが途中でふっと弱まるときがあり、軽くびっくりする。

(3)サンバイザーが小さい
フロントガラスに対しては、十分な大きさがあるのだが、横からの日差しにはほとんど役に立たない。これは、背が高くサイドウィンドーも大きいゆえの宿命ともいえる。UVカット&IR(赤外線=熱さ)カットガラスはついているけれど、それでも太陽にさらされてじりじりする感覚は、女性にはつらく厳しい。ええ、私のような年齢になってもですよ! 

後席のステップはフラットで乗り降りしやすいし、小物入れもたくさんあるし、両サイドともスライドドアの使いやすさは、小さな子どものいる家族にはうってつけだ。ブレーキを踏んだ時の違和感はこっそり直してくれるといいな、サンバイザーは、オプションでなにか出るといいなと、真剣に思っている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

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