中国市場について説明する日産自動車の関潤専務執行役員《撮影 山田清志》

日産自動車は2月15日、中国事業の説明会を開催した。そのなかで中国事業担当の関潤専務執行役員は同国の自動車市場の見通しについて「少なくとも毎年150万台ずつ伸びていく」と述べた。

今回の説明会は5日に北京市で発表した中国の中期経営計画を日本のマスコミに向けて開いたもので、野心的な目標を改めて力説した。その中身は2022年までの5年間に研究開発や生産能力増強、人材などに計約600億元(約1兆円)を投資し、22年の販売台数を2017年実績よりも100万台以上増やして約260万台に引き上げ、売上高を約1860億元(約3.2兆円)から3000億円(約5兆円)にするというものだ。

もちろん、そのために新工場も建設する計画だ。関専務は「交渉相手がたくさんいるので今は言うことができない」と詳しい内容については明らかにしなかったが、今年中には結論を出すとのことだ。

新工場を建設する際に3つの重要な要素があるという。その3つとはマーケットシェア、コスト、政府のインセンティブだ。「これから市場が伸びる都市のうち、どこでマーケットシェアを上げたいのか。労務費、電気・水道代、物流費の安いところはどこか。そして、どの都市が政府のインセンティブが多いか。この3つを考えて決めていく」と関専務は話す。

また、野心的な目標に対する勝算もあるようで、「トップ3入りを果たす」と力説する。現在、日産の合弁会社は販売シェアで第4位、第2グループで鎬を削っている。トップ2は年間販売台数が200万台を超え、その差は大きい。しかし、関専務は毎年150万台ずつ販売台数が伸び、電動化が急速に進むつつある中国市場では、日産にとって有利と考えている。

日産は今後5年間に電気自動車(EV)と「e-POWER」搭載車20車種を含む40車種以上の新車を投入する計画だ。同時に販売網も拡充し、eコマースを加速させるという。「販売力、技術力、サービス力でしっかり追い上げる」と関専務は強調する。これから中国市場で日産の動きから目が離せなくなりそうだ。

日産自動車の関潤専務執行役員《撮影 山田清志》