ヤマハ XSR700《撮影 雪岡直樹》

大き過ぎず、重すぎない。スリムで軽いから、これなら狭い駐輪場やガレージから出し入れするのも苦じゃないだろうな。チョットそこまでって、気軽に乗りたくなる親しみの持てるサイズ感とスタイリングが、飽きずに長くつきあえそう。

全長2075mmというと、同社の『SR400』(2085mm)より10mm短い。『XSR700』はやっぱり手頃なサイズ感なのだ。

なのに決して安っぽくない。質感のよいアルミ素材が多く使われ、シートはスエードとレザー調の素材が組み合わさり、さらに手の込んだステッチも施されるという懲りよう。大人向けのムードがあって、ファッションもアーバンなものを選ばなくてはならないなって気にさせる。女性ウケも良さそうだ。根拠はないが。

そんな無駄を削ぎ落としたかのようなXSR700のスタイル。「大きいバイクはもういいよ」っていうリッタークラスに食傷気味のベテランライダーも、このクオリティというか品格みたいなものがあれば、このクラスにまた戻ってこれるはず。そもそも、都会の人がバイクを選ぶときのジャストサイズなんじゃないかなって思う。

肝心な走りも快活で気持ちがいい。クロスプレーンの270度クランクパラレルツインエンジンは、トルクのムラの少ないリニアなパワー感があり、優れるトラクション性能を生み、乗り手が臆せずどんどんアクセルを開けていける。

3000〜6000rpmの実用回転域で、特に粘り強いトルクと扱いやすいパワーバランスを発揮し、ライダーの技量に関わらずプレッシャーを感じることなくスポーツライディングが楽しめる。ノンビリ走っても小気味よいから、ツーリングも楽しいものとなるだろう。

そんなフレンドリーなエンジン特性ながら、加速やスロットルレスポンスは充分過ぎるほどに鋭く、6000rpm以上からの伸びも力強い。ハンドリングは素直でコーナーも得意。決して暴れん坊だったりセッカチではなく、車体に落ち着きもあるからワインディングを穏やかな気持ちで駆け抜けることができる。

センス光る、今どきバイク。これを選べば、仲間から一目置かれそうな気がする。XSR700はそんな1台だ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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