適応ネットワーク制御技術の仕組み

NECは2月5日、自動運転においてリアルタイムに周辺情報を共有可能とする適応ネットワーク制御技術を開発したと発表した。

昨今、自動車の自動運転に加え、工場・倉庫の搬送車や検査・宅配のためのドローンを対象とした自動運行の開発が加速。モバイルネットワークを活用して位置情報やカメラ画像などの周辺情報をリアルタイムに共有することで、衝突を回避し、より安全な自動運行が可能となる。

しかし、モバイルネットワークでは、無線基地局あたりに接続する通信端末の数が増えるほど一台あたりの通信遅延は増加し、また通信遅延に影響のある無線品質は通信端末ごとに異なり刻々と変動するため、自動車が100台規模で集まる交差点などでは、安定的に通信遅延を100ミリ秒以下に抑えることができなかった。

NECは今回、各通信端末の通信の流れから緊急度の高い通信端末を特定し、無線基地局で割り当てる帯域や通信時間(無線リソース)を瞬時に緊急度の低い通信端末との間で調整する適応ネットワーク制御技術を開発した。
同社は、実在する交通環境での自動車の自動運転を想定し、100台の移動する車と100台のスマートフォンがLTE無線基地局に接続する環境下でシミュレーション実験を実施。自動車の通信遅延を100ミリ秒以下、かつ通信成功率を従来比5倍以上の95%となることを検証した。

NECは今後、自動運転をはじめ、工場や倉庫における自動搬送車、警備ロボット、災害時の調査ロボット、検査や宅配のためのドローンの自動運行など、様々な領域の社会システムに応用するために実証・製品化を進めていく。