カタログも『ジュリア』とは別に用意される「クワドリフォリオ」。プライス自体、他グレードとは別格ながら、乗ってみれば「なるほど、そういうことか!」と唸らせられた。
専用のルックスは迫力があるが、エンジンフードやルーフ、プロペラシャフトはカーボンファイバー製、ドアやフェンダーはアルミ製の専用仕立て。“マラネロ製”の2.9リットル90度V6ツインターボは510ps/61.2kgmと並々ならぬパフォーマンスで、2.99kg/psのパワーウエイトレシオをモノにしている。そんな仕様の一端を見ただけでも、1000万円超のプライスタグもむべならぬかな、だ。
実際のところ、走りはダイナミックのひとことだ。とはいえ、最初から明らかに獰猛…という訳ではないのは現代のクルマらしい。出足では、まるでドライバーのアクセルワークを見定めているかのようで、やんわりとアクセルを踏み込めばそれに従い、力を込めればその分だけ反応する。
ならばドラマティックではないのか?といったら、もちろんそんなことはなく、ドライバーの“意思”次第で、どこまでも加速をし、厚いトルクと際限ないパワーを発揮させる。回転を上げるとエンジン/排気音は存在感を増し、ドライバーの骨の髄まで響くものになる。
サスペンション、ハンドリングもそう。一般公道で試す範囲では、4輪は舐めるように路面に接地し、ステアリングも切ればとことん冷静に仕事をこなす。“表情の変わらなさ”はドイツ製の高性能サルーンに通じるところもある。
かつての『156GTA』が感性に響く高性能車だったとすれば、『ジュリア クワドリフォリオ』は、感性と理性を“50:50”で唸らせる高性能車といえそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
【アルファロメオ ジュリア クワドリフォリオ 試乗】感性と理性を50:50で唸らせる…島崎七生人
2018年02月02日(金) 20時00分
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