「遮断機が作動した後の踏切を強引に通過する」という交通違反を行い、パトカーに追跡されていた飲酒運転のワゴン車はさらに交通違反を重ね、赤信号の交差点で相手方が死亡するという出会い頭衝突も起こした。この現場から逃走していた同乗者4人が「飲酒運転のクルマに同乗していた」という容疑で逮捕された。

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昨年12月、神奈川県大井町の国道255号で発生した飲酒運転とパトカーからの追跡逃れを発端とした死亡事故について、神奈川県警は29日、事故を起こしたクルマに同乗していた21歳の男女4人を飲酒運転車への同乗容疑で逮捕した。

神奈川県警・交通捜査課によると、問題の事故は2017年12月15日の午後11時25分ごろ発生している。大井町上大井付近の国道255号(片側1車線の直線区間)で、直前に交通違反を行ったとしてパトカーの追跡を受けていたワゴン車が赤信号を無視し、約100km/hの速度を維持したまま交差点へ進入。青信号に従い、左方向から交差進行してきた乗用車と出会い頭に衝突した。

この事故で乗用車を運転していた63歳の女性が死亡。クルマを運転していた南足柄市内に在住する20歳の男は自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)や道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で逮捕されたが、事故当時に同乗していた6人のうち、4人は現場から逃走していた。

逮捕された運転者を含む7人は南足柄市内の飲食店で約3時間に渡って酒を飲み、次の店に移動する途中で事故を起こしていたことが判明。警察では同乗者も運転者の酒気帯び状態を認知していたと判断し、逃げた21歳の男女4人を道路交通法違反(酒気帯び運転車同乗)の容疑で逮捕。現場に居残っていた別の同乗者2人についても同容疑で事情を聞いている。逮捕された4人の中には事故後に依願退職した消防士の男も含まれていた。

聴取に対して4人は「運転者が酒を飲んでいたことは知っていたが、クルマで送ってくれと依頼したわけではない」などと供述し、容疑の一部を否認しているようだ。警察では逃走時に煽り立てていた可能性を含め、事故発生の経緯を詳しく調べている。

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逮捕された4人は「飲酒運転のクルマに同乗していた」という事実は認めているものの、「送ってくれとは頼んでいない」などとして、積極的な同乗ではなかったと主張しているようだ。パトカーからの追跡逃れについては「同乗者が酒に酔った勢いで運転者を煽り立てたことでエスカレートし、事故に至った可能性が高い」と考えられているようで、事故を起こした運転者だけでなく、同乗者の責任も問う方向で捜査が進められていくとみられる。