デイトナ24時間に参戦したフェルナンド・アロンソ。《写真提供 INDYCAR》

北米伝統の耐久レース「デイトナ24時間」の決勝が現地27〜28日に実施された。プロトタイプマシンでの耐久レースに初挑戦したF1の2冠王者フェルナンド・アロンソはブレーキトラブルもあってクラス13位。総合優勝はキャデラックDPiのフィリペ・アルバカーキ組が飾っている。

例年この時期に開催されるデイトナ24時間レースは、NASCARの開催地としても知られる米フロリダ州の名門オーバルコース、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイが舞台。デイトナ24時間はオーバルとインフィールドのロードセクションを組み合わせたコースで実施される。

その年最初の世界的ビッグレースとして毎年注目されるデイトナ24時間だが、今年は新たな焦点も存在した。2005、2006年のF1世界チャンピオンであるフェルナンド・アロンソがスポーツプロトタイプマシンでの初レースに臨んだのである。

アロンソは今もF1現役(今季はマクラーレン・ルノーで参戦)だが、F1モナコGP、インディ500、そしてルマン24時間という世界3大レースの完全制覇も目指して活動中。既にモナコGPは優勝しており、インディ500には昨年初参戦(当時の優勝は佐藤琢磨)、そして今回のデイトナ24時間参戦は近未来的なルマン24時間参戦を視野に入れた動きとなる。

アロンソはフィル・ハンソン、ランド・ノリスと組み、ユナイテッド・オートスポーツが走らせる#23 リジェLMP2での出走。予選での同車はプロトタイプクラス13位、決勝ではブレーキの問題が発生するなどして90周遅れの718周、やはりクラス13位(総合38位)だった。

アロンソは「それほど高い期待をもってレースに臨んだわけではなかったが、(決勝レースでは)唐突に我々のペースが上がり、ガレージのみんなが笑顔になった。あれはナイスな感じだったね」との談話を残し、自身初のプロトタイプ耐久レースを終えた。昨年11月にはトヨタのWEC-LMP1マシンをテストしている彼が、今後ルマン24時間制覇に向けてどういうプロセスを踏んでいくのか、引き続き世界が注目することとなる。

デイトナ24時間は「プロトタイプ」「GTLM」「GTD」という3クラスでの混走実施(LM=ルマン、D=デイトナ)。プロトタイプの優勝(総合優勝)は#5 キャデラックDPiのF.アルバカーキ/J.バルボサ/C.フィッティパルディで、2876.48マイルの走破距離は大会史上最長とのこと。1周の距離が現在とは違う時代の1982年にポルシェ935が作った記録を約115マイル(約184km)更新した。

また、808周という周回数も1992年に総合優勝した日産R91CP(長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男)を46周上回って最高記録に。アクシデント等による波乱度合いの少ないレース展開がこれらの記録更新の後押しとなり、26年前の日本の偉業に再びスポットライトをあてることにもつながっている。なお、今回のプロトはキャデラックDPiの1-2フィニッシュだった。

GTLMクラスは、インディカーでもおなじみの強豪チーム「チップガナッシ」がインディ王者らも擁して走らせたフォードGTが1-2。優勝は#67 フォードGTのR.ブリスコー/R.ウェストブルック/S.ディクソン。GTDクラスは#11 ランボルギーニ・ウラカンGT3のM.ボルトロッティ組が優勝した。クラス2位には#86 アキュラNSX GT3のA.パレンテ組が入っている。

デイトナ24時間レースは、現在の北米トップシリーズ「IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権」の開幕戦でもあり、2018年の同選手権は3月の伝統戦「セブリング12時間」を含めた全12戦の予定となっている。

デイトナ24時間は北米伝統の耐久レース。《写真提供 INDYCAR》 プロトタイプクラスの戦い(写真先頭は#7 アキュラDPi)。《写真提供 INDYCAR》 ポール発進だった#10 キャデラックDPi(総合優勝は#5 キャデラックDPi)。《写真提供 INDYCAR》 GTLMクラス優勝の#67 フォードGT。《写真提供 INDYCAR》 GTLMクラス1-2を喜ぶチップガナッシ陣営。インディの帝王スコット・ディクソン(右から3人目)らを擁する豪華布陣。《写真提供 INDYCAR》 デイトナ24時間は例年、「世界の開幕戦」的な位置づけにもなっている。《写真提供 INDYCAR》 日が短い時期の開催なので、夜が長い24時間戦であることもデイトナ24時間の特徴だ。《写真提供 INDYCAR》