ホンダ子会社の「ホンダカーズ千葉」、元店長の過労自殺認め謝罪、遺族と和解成立【新聞ウォッチ】

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2018年1月18日付

●米インフラ改修本格化、10年110兆円、日本企業に商機(読売・9面)

●日産、欧州で電動車5割、2025年度目標、投入を加速(朝日・8面)

●VW世界販売が最高、17年、トヨタ超え確実(朝日・8面)

●神鋼改ざん素材、トヨタ車「安全」(読売・8面)

●原産地規制、厳格化を批判、北米トヨタCEO NAFTA再交渉(毎日・7面)

●日産21年に高級EV発売(毎日・7面)

●トヨタに情報提供、米ベンチャー自動運転で協力(産経・10面)

●電子ミラーAI活用、三菱電機、100メートル後方の車認識(産経・10面)

●日比谷線落書き被害、外国人グループ関与?(産経・27面)

●過労自殺認め和解、ホンダ子会社謝罪、部下の残業肩代わり(東京・1面)

●社説、IT革新と車、「メーカー」の先へ(東京・5面)

●各地の若き「匠」伝統工芸紹介、レクサスが商談会(東京・7面)

●都内で車の先端技術展示会、過去最多1063社出展、自動運転が焦点に(日経・15面)

●テスラ、財務リスク膨らむ「モデル3」2度目の生産延期(日経・17面)

●ガソリン、店頭143.2円、4週連続上昇、2年半ぶり高値(日経・20面)


ひとくちコメント

広告代理店の「電通」の女性社員の過労自殺などを機に、安倍政権の肝入りでたびたびメディアなどでも取り上げられる「働き方改革」。ホンダの子会社「ホンダカーズ千葉」でも、自動車販売店の男性店長(当時48歳)がうつ病になり、懲戒解雇後に自殺したのは、長時間労働などが原因として、遺族が訴訟を起こしていたことは、すでに報じられていた。

その裁判が千葉地裁で行われ、会社と遺族との間で和解が成立したという。ホンダカーズ千葉が長時間の業務が自殺の原因で、懲戒解雇も無効と認めて謝罪し、遺族に損害賠償金を支払うそうだ。

訴訟記録などによると、自殺した男性は2015年3月にオープンした千葉市内の販売店の店長に就任。部下の残業を肩代わりするなどして時間外労働時間は多い月で87時間も行っていたという。

男性はその年の6月から行方がわからなくなり、8月に帰宅後、ストレス性うつ状態と診断された。会社側は無断欠勤などを理由に書面で懲戒解雇を通知したことで、16年9月、地位確認や未払い賃金の支払いを求める労働審判を千葉地裁に申し立てたが、そのさなかの12月20日に自殺した。労働審判を引き継いだ遺族が会社に慰謝料などを求める訴訟を起こしていた。

遺族は、会社に対し1億3000万円ほどの賠償などを求めて裁判が続けられていたが、原告の弁護士によると、会社側が男性の自殺は店長として心理的・身体的負荷を受けた結果で、安全配慮義務を怠っていたとして、懲戒解雇を無効とするとともに遺族に謝罪し解決金を支払うことで和解が成立したという。

きょうの各紙を比べてみると、この「和解成立」の取り扱いが興味深い。東京は「過労自殺認め和解、ホンダ子会社謝罪」とのタイトルで1面トップとして報じており「働き方改革、管理職板挟み」との解説記事も付け加えている。

読売、朝日、毎日も社会面で取り上げているが、記事としては2段程度の見出しでそれほどの大きさではない。産経も社会面の記事だが、1段扱いの目立たない記事だった。ちなみに、日経は、地方の自動車販社のことなのか、それとも親会社がホンダということで忖度したのか、1月18日の朝刊では報じられていない。