『CX-8』に試乗してもっとも驚いたのは上質な乗り心地。事前情報では、『CX-5』のBピラーから後ろを変更して3列シート仕様にしたSUVというものだった。ホイールベースを延長したストレッチ版という認識だったが、マツダの説明によるとまったく違うという。
Bピラー前は基本的に共通というのは正解だが、リヤは別物で、どちらかというと北米に投入している『CX-9』に近い。そのためフロアなどの剛性がアップし、リヤサスペンションもCX-9をベースにしている。
乗り心地に落ち着きがあり、タイヤの動きがいいのは、ボディ剛性がアップしたことが大きい。それに3列にしたことで、前後重量バランスがさらによくなった。CX-5の同グレードと車両重量を比較すると約200kg重くなっているが、それが重厚な乗り味につながっている。
SKYACTIV-Dの進化も感じられた。基本はCX-5を踏襲しているが、急速多段燃焼採用などによってより洗練された印象。アイドリング時の静粛性が高く、走行時は車内にディーゼルらしいノイズはほとんど届かない。
加速も重量の軽いCX-5と同等でスムーズさはCX-8のほうが上だ。これは最高出力を129kWから140kWにアップし、最大トルクも420Nmから450Nmに向上した結果、車両重量が増えてもスポーティな加速感を維持している。試乗時は1人だったが、3列目を使ってフル乗車しても動力性能には余裕があるはずだ。
CX-8に試乗するとCX-5のインパネやインテリアの質感が高かったのは、価格帯が上のCX-8と共通化するためだったことがわかる。それだけCX-5はお買い得なわけだが、改良型エンジンと乗り心地はCX-8のほうが一段とよくなっている。
改良を望みたいのはロードノイズ。車内は基本的に静かで静粛性に優れ、ガラスからの透過音もよく抑えられていて静かだ。だが、キャビンまわりの音が静かになったことで路面からのノイズが目立ってしまった。特に荒れた路面でのロードノイズが耳についてしまうのが残念。
キャンピングトレーラーに興味がある方は、CX-8純正オプションのトレーラーヒッチに注目したい。海外では一般的なオプションだが、日本で純正が用意されるのは珍しい。『ランドクルーザー』なども設定しているが、このクラスでは唯一の設定だろう。
最大けん引荷重は750kgだから、けん引免許が不要なトレーラーをトーイングする仕様。ヒッチボールはねじ式の2インチで欧州用の50mmボールは付属しない。灯火用のハーネスはJIS7極ソケットだから欧州製のキャンピングトレーラーをトーイングするには変換ソケットを用意するか、ソケット自体を変更する必要がある。
日本もようやくSUVに、純正ヒッチメンバーが用意されたのはうれしい。遊びの幅を広げるためにも、こうしたオプション設定は歓迎したい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト/AJAJ会員
自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。キャンピングカーやキャンピングトレーラーなどにも詳しい。プリウスでキャンピングトレーラーをトーイングしている。
【マツダ CX-8 試乗】純正ヒッチメンバーで遊びの幅も広がる…丸山誠
2017年12月31日(日) 12時00分
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