代表取締役CEOの石崎(※さきはたつさき)雅之氏撮影 佐藤耕一

自動運転向けAIソフトウェアを開発するアセントロボティクスは12月19日、記者向けの事業説明会を開催した。2020年までに、高精度地図を必要としない自動運転レベル4に対応したAIを完成させる計画だ。

代表取締役CEOの石崎(※さきはたつさき)雅之氏は、「高精度地図を広範囲で作成しメンテナンスするのには相応のコストがかかる。アセントロボティクスでは、高精度地図が無くてもレベル4で自動走行することができるAIを開発している。2018年春に向けてAIを実車搭載し検証を始め、2020年には、高速道路だけではなく一般道も走行可能な自動運転レベル4のAIを完成し、OEMに提供を開始する」とアピールする。

同社のAIの特徴は、バーチャル環境による教師データの深層学習だ。これによりアルゴリズムの学習速度は飛躍的に高まるとする。「仮想空間で学習するほうが効率的なことは分かっている。学習スピードの制約条件はシステムリソースだけになるからだ」と石崎氏は説明する。

ビジネスモデルはソフトウェアのライセンス販売だが、現時点ではまだ開発フェーズだ。「これまでは独自で開発を進めてきたが、ちょうどいま、顧客との共同研究開発のフェーズに移ってきたところだ。2018-9年にはライセンスの販売フェーズに移っていくだろう。販売する商材は主に、AIエージェントとその学習環境。AIエージェントはソフトウェアで、学習環境はSaaSで提供する」(石崎氏)

販売先は自動車メーカーをメインターゲットとしているが、産業用ロボット向けAIも並行して開発し、自動運転向けAIに先立って商用化していく意向だ。「もっとも難易度の高い自動運転向けのAIを手掛けているが、その前の段階で要素技術を産業ロボット向けにライセンス化して販売する」(石崎氏)

競合相手については、トヨタが出資しているプリファードネットワークスやディープマインド、ウェイモなどが挙げられるが、同社のAIの特徴について石崎氏は、歩行者や周りの車の動きを予測しながら判断できる点だという。「現在のAIは、その瞬間の状況を(前後関係なしに)高速で判断し処理している状態だ。そのため、その処理能力はコンピューティングパワーに依存してしまう。当社のAIはメモリを持ち、対象物の動きを予想しながら走ることができる。この能力が特徴だ」と説明する。

日本に拠点を置いたのは、自動車メーカーとともに、産業用ロボットのメーカーも集まっているからだという。「すでに複数の自動車メーカー、産業用ロボットメーカーと話をしており、なかには共同研究開発に進んでいるところもある」(石崎氏)

石崎氏プレゼンテーション資料より撮影 佐藤耕一 石崎氏プレゼンテーション資料より撮影 佐藤耕一 石崎氏プレゼンテーション資料より撮影 佐藤耕一 石崎氏プレゼンテーション資料より撮影 佐藤耕一 石崎氏プレゼンテーション資料より撮影 佐藤耕一 仮想環境での深層学習の様子撮影 佐藤耕一 仮想環境での深層学習の様子撮影 佐藤耕一