15年ぶりの保険料運用益返済を実現した石井国交相と麻生財務相の折衝(18日・霞が関)《撮影 中島みなみ》

石井啓一国土交通相と麻生太郎財相は18日、2018年度の国土交通予算で合意した。その中で財務省は15年ぶりに自動車ユーザーの保険料運用益の返済に応じた。

返済額は23億2000万円。総額は元利合計で6169億円あったため、返済が実施されると、財務省に貸した自動車ユーザーの自賠責保険の運用益は2017年度末の計算で6145億8000万円となる。

財務省が担当する一般会計から国交省が担当する自動車安全特別会計への返済は、来年度実施される。

また、石井氏と麻生氏は来年度以降の返済について大臣覚書を締結。次回の返済期限を従来の覚書で7年後としていたところを短縮して4年後の2022年度に短縮した上で、「毎年度の具体的な繰り戻し額については、被害者等のニーズに応じて、被害者保護増進事業等が安定的、継続的に、将来にわたって実施されるよう十分に留意しつつ協議の上で決定していく」という新たな一文を追加した。

石井氏は折衝後の会見で次のように述べた。

「平成15(2003)年度以来、繰り戻しが行われてこなかったことに対する関係者の不安感に応えるために平成30(2018)年度の予算案において、一般会計から23億2000万円の繰戻しを行うことで合意した。事故被害者、その家族の負担軽減と安心感を確かなものとするために、一歩づつ着実な歩みを開始していきたい」

ただ覚書は、2019年度以降の具体的な返済額については定めていない。石井氏はその見通しを明言しなかった。

「積立金の水準と返済状況を踏まえつつ、一般会計の財政事情を勘案しつつ、毎年度の予算編成において繰戻しの増額を重要課題と位置付け、国交省と財務省で協力して検討していく。31年度以降も着実に繰り戻しがなされるよう引き続き協議をしていきたい」