カーフェリーへの乗船中はトラックやトレーラーの運転者にとっては「緊張感から解放される」とか、「眠るための時間が確保できる」ものであり、以前から「寝酒」と称した飲酒が行われてきたようだ。

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11月下旬、大阪府大阪市平野区内の阪神高速道路松原線で発生し、3人が死傷したタクシーと大型トレーラーの衝突事故について、大阪府警は12月11日までにトレーラーの運転者を過失致死傷や酒気帯び運転の容疑で送検した。

大阪府警・高速隊によると、問題の事故は2017年11月22日の午前0時40分ごろ発生している。大阪市平野区喜連西付近の阪神高速道路松原線(片側2車線の直線区間)で、第1車線から車線変更してきた大型トレーラーと、第2車線を走行していた営業中のタクシーが衝突。タクシーはトレーラーと中央分離帯側壁との間に挟まれて中破し、後部座席の乗客2人が死傷。運転者も骨折などの重傷を負った。

トレーラーを運転していた愛媛県新居浜市内に在住する55歳の男は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失傷害)の現行犯で逮捕されたが、呼気からは酒気帯び相当量のアルコール分を検出。事故直前まで乗っていた船舶(カーフェリー)内で飲酒していたことが後の調べで判明した。乗船前にコンビニエンスストアで購入した焼酎を持ち込み、船内で水割りにして4杯を飲んでいたという。

男は「酔いはすぐに醒めるので、以前からフェリーの船内で飲んでいた」と供述しており、警察では飲酒運転が事故につながったものと判断。容疑を過失致死傷と道路交通法違反(酒気帯び運転)に切り替え、11日までに送検している。

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フェリー内の寝酒が度を越し、泥酔状態となったことで起きたのが、1999年11月28日に東京都世田谷区内の東名高速道路で幼児2人が死亡した事故。後に危険運転罪が制定されるきっかけともなった。この事故を起こしたトラック運転者もフェリー船内で酒を飲んでいたことが後に判明している。

フェリーを運航する船会社も車両利用客と徒歩乗船客の滞在スペースを分け、前者が乗る区画ではアルコール類の販売を行わないといった対策を実施しているようだが、今回のように外部からアルコール類が持ち込まれることもあり、完全な対処が難しいのが現状だ。