トヨタ MIRAI と水素ステーション(参考画像)《撮影 太宰吉崇》

トヨタ自動車など11社は12月12日、水素ステーションの本格整備を目的とした新会社を2018年春に設立することで合意し、契約を締結したと発表した。

新会社設立に合意したのは、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダといった自動車メーカー3社のほか、インフラ事業6社(JXTGエネルギー、出光興産、岩谷産業、東京ガス、東邦ガス、日本エア・リキード)、さらに豊田通商、日本政策投資銀行の計11社。これら11社は、2017年5月より燃料電池自動車(FCV)向け水素ステーションの本格整備を目的とした新たな協業について検討していた。

産学官の有識者で構成する水素・燃料電池戦略協議会は、水素社会の実現に向けて、2020年度までに水素ステーション160か所の整備、FCVの4万台普及などを官民目標とする「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定。新会社はそれを踏まえ、11社を中心にオールジャパンでの協業により、FCV普及初期における水素ステーション整備を加速させるべく、設立するものだ。

新会社では、FCV普及初期における水素ステーション事業の諸課題を踏まえ、インフラ事業者、自動車メーカー、金融機関等がそれぞれの役割を果たし、協調することで、FCV需要の最大化が狙える水素ステーションの戦略的な整備と、それを踏まえた着実なFCVの普及、および水素ステーション事業の自立化を目指す。

新会社の事業期間は10年と想定。第1期としてまず4年間で80基の水素ステーション整備を目指し、目標達成のために広く新会社への新規参画も募る。さらに国の補助金政策、自治体の普及に向けた取組み等を総合的に勘案しながら、独自に「水素ステーション整備計画」を策定し、日本全国で多くの人たちがFCVを使える環境を整備する。また、水素供給利用技術協会(HySUT)や燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)などの外部機関と連携し、利便性向上やコストダウンを目指す。

新会社での取り組みを進めるため、インフラ事業者は、水素ステーション整備への投資・建設を行うとともに、新会社から水素ステーションの運営業務を受託する。自動車メーカーは、水素ステーションの最適配置や利便性向上、普及啓発活動への取組みなどを新会社に業務委託し、資金拠出することで活動を後押し。豊田通商および日本政策投資銀行は新会社に出資し、その出資金を水素ステーション整備費用の一部に充当。インフラ事業者の初期投資負担を軽減し、広く水素ステーション事業への新規参入を促す。