CADやPLM(製品ライフサイクル管理)などのソリューションを製造業向けに提供するPTCジャパンは12月12日、「PTCフォーラムジャパン2017」を開催した。
基調講演では、PTC Inc. 製品・マーケット戦略統括 エグゼクティブ・バイス・プレジデントのキャスリン・ミットフォード氏が登壇し、デジタルとフィジカルの融合におけるPTCの役割をアピールした。
「IoTは、フィジカルな世界のデータをデジタルに移動する役割をもっている。いっぽう、デジタルなデータをフィジカルな世界にマッピングするのがARやVRの技術であり、それにはCADやPLMが大きな役割を果たしている。CADやPLMを通じて顧客企業に価値を提供できるのがPTCだ。」
つづいて、トヨタ自動車エンジニアリングIT部長の細川昌宏氏が登壇し、「エンジニアリングチェーンにおけるIoT活用の取り組み」についてプレゼンテーションした。まず細川氏は、トヨタにおけるエンジニアリングITの規模について説明した。
「ITの活用領域が増えており、トヨタ社内では828ものITシステムを使っている。金額に換算すると約8000億円。エンジニアリングITだけでも約500システムも使っている。エンジニアリングは未来への挑戦にむけて、自動運転、工場IoE、デジタルマーケティング、環境、セキュリティにといった分野の準備を進めており、数年来予算が増えているのが実態だ。」
続いて、エンジニアリングITの支援による自動車開発の高度化について言及した。
「モデル・シミュレーションによる車両企画によって、開発の早い段階から企画とメカ、制御の部署が連携して開発を高度化する。さらに、実車から集めた走行データのフードバックをクルマづくり活かしていく。」
「これを発展させて、お客様それぞれの使い方やニーズに応じて、燃費重視や走行性能重視、安全性優先など、車の設定をソフトウェアでチューニングしていきたい。(On The Airアップデートによって)1000万通りの愛車をつくっていく、という活動を始めている。」
また細川氏は工場IoTについて、デジタルとリアルの融合したエンジニアリングに向けて、業界標準の枠組みが必要だと説いた。
「Windowsのウイルス感染によって工場が稼働停止したり、IoTが乱立して、標準化されていない使えないデータになってしまう課題に突き当たる。セキュリティやデータの標準化・収集・加工・管理の仕組み、セキュリティの監視対応を用意しなければならない。」
またビッグデータについては、現状の問題点をふまえて、トヨタ生産方式の教えに沿った形に変えていくとアピールした。
「ビッグデータに関しては、とにかく無茶苦茶にデータが増えてしまう。センサーが根こそぎデータを集めるが、何が必要なデータなのか探し出せない。ゴミの山を集めるようなやり方はよくないと感じている。トヨタ生産方式の教えのように、無駄をなくした方法に変えていく。必要なものを集めて、そのなかからデータを選別し、活用できるデータに整理する。無駄をなくして安心して活用できるプロセスを構築していく。」
エンジニアリングITでクルマ作りはこう変わる…PTCフォーラムでトヨタ基調講演
2017年12月12日(火) 16時36分
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