東京証券取引所《撮影 高木啓》

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2017年12月8日付

●鴻海傘下でV字回復、シャープ東証1部復帰、1年4か月ぶり(読売・12面)

●革新機構持ち株会社に、政府検討、設置期限も9年延長へ(読売・13面)

●東京駅前、新たな名所へ、丸の内側広場新装(読売・29面)

●電動自転車ぐんぐん成長、二輪車上回る出荷台数(朝日・8面)

●ドローンビジネス多様化、残業監視、専用アプリも(毎日・6面)

●香港AI企業と提携、ホンダ、自動運転で共同開発(毎日・7面)

●生活道路30キロ規制3105地域、警察庁まとめ、整備翌年度、事故23.5%減(毎日・28面)

●東芝、WDと和解大筋合意、米投資ファンド、「決裂可能性低い」(産経・2面)

●自動運転タイヤも進化、住友ゴムなど新技術開発へ(産経・10面)

●不正データ製品豊田合成に納入、東レ子会社(日経・15面)


ひとくちコメント

経営危機に見舞われて債務超過に陥り、東京証券取引所1部から2部に降格していたシャープが、約1年4か月ぶりに東証1部に復帰した。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り再建を進め、業績を急速に改善させたためで、再建を指揮した戴正呉社長は2019年度までは経営陣にとどまるものの、後継者の育成を急ぐ考えを表明したという。

きょうの各紙も「鴻海傘下でV字回復」(読売)、「シャープ前倒し復調、鴻海流で加速」(朝日)などのタイトルで、シャープが東証1部に返り咲いたことを経済面のトップ記事などで大きく報じている。

それによると、シャープは2016年3月期の連結決算で2559億円の巨額の最終赤字を計上し、債務超過に陥ったことを受け、16年8月、東証1部から2部に降格した。その後、台湾の鴻海精密工業からの出資で債務超過を解消。液晶パネルの販売拡大やコスト削減などで業績が回復に転じ、17年3月期連結決算では、本業のもうけを示す営業損益が3年ぶりに黒字となり、1部への復帰を今年6月に申請し、東証が11月30日に認めたという。

ただ、東証1部の「復帰」は、再建計画に終止符を打ったことにはならない。後継者の育成が視野に入り、改革をどう継続するかが焦点に浮上。主力の液晶事業が次世代パネルの有機ELとの競争にさらされるなど課題も多い。きょうの各紙も「社長後継者の育成焦点」(東京)、「シャープ復活、仕上げ難題、共同CEOを検討」(日経)などと、先行きは楽観を許されない情勢であることを指摘している。