最終戦を制して3連勝、今季5勝目をあげた#8 トヨタ。《写真提供 TOYOTA》

現地18日、世界耐久選手権(WEC)第9戦の決勝6時間レースがバーレーン国際サーキットにて行なわれ、LMP1-Hクラスのトヨタ8号車 中嶋一貴組が3連勝でシーズン5勝目を飾った。トヨタはタイトルこそ逃したが、王者ポルシェに対し5勝4敗と勝ち越して今季を終えている。

前戦までにタイトル争いは決着したLMP1-Hクラスのポルシェ対トヨタだが、勝ち星的には4勝4敗の五分で最終戦バーレーンを迎えた。予選はポルシェが1-3で、トヨタは2-4。そして決勝は、中嶋一貴らの#8 トヨタTS050以外の3台をアクシデント的要素が襲う展開となる。

まずは開始15分ほどのところで、今季王者トリオの#2 ポルシェ919(T.ベルンハルト & E.バンバー & B.ハートレー)がコース上の異物を拾ってしまったことにより緊急ピットイン、後退する。続いてレース折り返し点付近で、#7 トヨタTS050(M. コンウェイ&小林可夢偉&J-M. ロペス)がGTカテゴリーのマシンと接触、やはり緊急ピットインして後退。

さらには残り2時間ほどとなった頃合いに、今度は#1 ポルシェ919(N. ジャニ&A. ロッテラー&N. タンディ)がGTカテゴリーのマシンと接触、これまた緊急ピットインして後退となる。LMP1-Hで唯一、順調にレースを進められたといえるマシンが、#8 トヨタTS050(S. ブエミ&A. デビッドソン&中嶋一貴)。彼らは富士、上海に続く3連勝を飾り、シーズン5勝目をあげた。

優勝した#8 トヨタ 中嶋一貴のコメント
「シーズン最終戦を勝利で終えられたのは格別です。我々のTS050は本当に速く、クルーも勝利に値する素晴らしい仕事で支えてくれました。シーズン終盤、安定した速さを見せられたことは良かったと思います。シーズン5勝と終盤の3連勝は本当に素晴らしいこと。優勝できるマシンに仕上げてくれたチームに感謝します。本当に嬉しいです」

最終戦の2〜3位はポルシェ(#2、#1の順)。#7 トヨタは4位だった。

これで今季、トヨタ(8号車)は2連勝〜4連敗〜3連勝。タイトルこそ獲得できなかったが、シーズン5勝4敗として、2冠3連覇を達成したポルシェを相手に勝ち越した。ポルシェは今季限りでLMP1戦線を去ることが決まっているが、トヨタの豊田章男社長は偉大なライバルに対し「ポルシェの皆さま、ぜひ、いつの日か、どこかの道で、お互いの『もっといいクルマ』のために、また競い合わせていただければと思います」とのメッセージを寄せている。

なお、澤圭太が乗り組んだLMGTE-Amクラスの#61 フェラーリ(W-S. モク&澤&M. グリフィン)は最終戦クラス2位。

来季のWECは2018/2019シーズンというかたちで、19年6月のルマン24時間レースまでの“ルマン2回を含む、都合1.5年”のロングシーズンとなる。様々な意味で過渡期に入るため、LMP1クラスの在り方等、まだ詳細が見えてきていない部分も大きいが、「スーパーシーズン」とも呼ばれる新季は18年5月に開幕する予定だ。

優勝した#8 トヨタの(左から)デビッドソン、ブエミ、中嶋一貴。《写真提供 TOYOTA》 最終戦バーレーンの表彰式。《写真提供 TOYOTA》 #7 トヨタは最終戦4位(写真後方は#1 ポルシェ)。《写真提供 TOYOTA》 まだ明るいうちに決勝スタート、次第にナイトレースとなる。《写真提供 Porsche》 当面最後のポルシェ(#1、#2)対トヨタ(#8、#7)のワークス対決。《写真提供 Porsche》 ポルシェは今季限りでLMP1戦線を去る。《写真提供 Porsche》 今季を戦ったトヨタのLMP1-Hマシン「TS050 HYBRID」。《写真提供 TOYOTA》