日産自動車追浜工場

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2017年11月17日付

●運転中急死5年で200人、バス、タクシーなど、巻き込み事故も86件(読売・35面)

●日産「人手不足認識せず」無資格検査、きょう最終報告書(朝日・1面)

●次世代高速通信「5G」共同開発、ホンダとソフトバンク(朝日・11面)

●スバルリコール届け出、9車種40万台、費用倍増200億円(読売・8面)

●東芝パソコン売却、消費者向け撤退、台湾大手と交渉(東京・3面)

●中国EV提携に走る(日経・11面)

●VW、中国に1.3兆円、新エネ車販売、25年150万台へ(日経・11面)

●米のライドシェア向け、運転手に車レンタル、トヨタ系(日経・13面)

●日産社長ら報酬返上へ、無資格検査問題で処分(日経・13面)

●障害者スポーツ国際本部に協賛、トヨタ(日経・15面)

●貸し切りバス全社を調査、国交省、安全対策、中小も対象、21年度まで(日経・42面)


ひとくちコメント

日産自動車に次いでSUBARU(スバル)でも発覚した国の規定に反して新車を無資格検査していた問題が幕引きに向けて大詰めを迎えている。

日産は原因などを調査した報告書を、きょう11月17日午後、国土交通省に提出するという。

きょうの朝日や日経などが報じている。朝日はきょうも1面準トップで「日産『人手不足認識せず』せず」とのタイトルで大きく取り上げた。記事によると、報告書では、生産拡大で多くの工場で検査員が不足したが、経営陣は認識せず、経営計画を推し進めて現場に無理が生じた。また、不正を問題視する従業員もいたが内部通報制度が機能しなかったなどの調査結果や再発防止策が盛り込まれるという。

さらに、検査への意識が薄いまま、近年の生産拡大を推進。業績を伸ばすカギを握る米国と国内市場でのシェア拡大を目指し、2016年ごろから国内工場で増産や生産車種の移管を進めた。検査員の不足や配置のひずみが広がったが、経営陣は窮状を把握していなかったそうだ。

一方、日経によると、西川広人社長を含む一部の経営陣が報酬を返上する方針で、最終報告書と合わせて経営陣の処分内容も発表すると伝えている。昨年発覚した三菱自動車の燃費不正問題では、当時の相川哲郎社長が引責辞任したほか、益子修会長は無報酬で再発防止に徹底的に取り組むことなどの処分を決めた。

日産は2014年3月期の中間決算では、通期業績見通しを下方修正した際に、当時の志賀俊之COOが責任をとってCOO職を返上し、副会長に棚上げされる処分も決めたほど。三菱自とも不正内容は異なるが、長年にわたって監督体制を放置していた経営陣の責任は重く、どんな処分になるのかも注目したい。

日産に続いて無資格検査問題が明らかになったスバルでは、再点検が必要な約39万5000台のリコール(無料の回収・修理)を国土交通省に届け出た。対象は主力車『インプレッサ』など9車種で、当初の約25万5000台から広げたため、関連費用は従来見通しの2倍となる約200億円に膨らむ見込みだという。

毎日や日経などが取り上げているが、顧客にはダイレクトメールを発送し、通知を始め、通常の車検や点検の時期が近い顧客を対象に、早期に販売店に持ち込んでもらうように促す費用も織り込むという。

車検とリコールを同時に実施した場合は作業が重複するため、重複する作業費として1台あたり5万円を顧客に支払う方針。ただ、業績への影響は「精査中」として、現時点では業績修正は行っていない。

すでに、中間決算時でも慎重過ぎるほどの見通しを発表しており、国内では多少のイメージダウンの影響は受けても、ドル箱の米国市場が堅調で推移すれば、営業利益率が11%を超えるほどの余裕ある経営には変わらないとみられる。

日産栃木工場で生産されるGT-R。