GT500のチャンピオンに輝いた#37 レクサスLC500。《撮影 益田和久》

12日、SUPER GT 最終戦もてぎの決勝レースが行なわれ、GT500クラスは2位でゴールしたKeePer TOM'S LC500の平川亮&ニック・キャシディがドライバーズチャンピオンを獲得した。ともに23歳の若手コンビは初戴冠。最終戦の勝利はニスモGT-Rがポール・トゥ・ウインで得ている。

快晴といっていい好天に恵まれたツインリンクもてぎ。53周の決勝レースは13時30分にパレードラップが開始された。ドライバーズランキング上位3陣営のマシンが、予選1-2-3をランキングの逆の順番で占めるという、極めて高い緊張状態で250kmバトルが始まることとなる。タイトル争い=優勝争いという構図での展開推移が予想された。

しかし、その最前線の緊張感が、ローリングスタートでの開戦の直前に予期せぬ状況を創出してしまう。パレードラップに続くフォーメーションラップを終えて、いよいよホームストレートでの本番スタートへ、というコース最終セクションで、なんとフロントローの2台が接触してしまったのである。

ポールの#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R. クインタレッリ/ミシュラン=MI)はリヤに、予選2番手の#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&A. カルダレッリ/ブリヂストン=BS)はフロントにダメージを抱えながらの本番スタートとなった。#23 GT-Rは先頭をキープして走るが、#6 LC500はポジションを落としていくこととなり、5番手まで下がった6周目には#24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木大樹&J-P. デ・オリベイラ/ヨコハマ=YH)との接触(#24にペナルティ)で大きく後退してしまう。#6 LC500はレース序盤にして事実上、タイトル戦線から去ることに。

#23 GT-Rはそのまま実質のトップを譲らない走りでポール・トゥ・ウイン、日産勢にとってのシーズン初勝利を飾る。しかし3番手発進のシリーズランク首位 #37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)も自力タイトル獲得条件である2位をしっかり守って走り、GT500ドライバーズタイトルをその手につかむこととなった(チーム部門タイトルも#37が獲得)。

#37 LC500の平川とキャシディはともに1994年生まれで、現在23歳の若手選手。日本とニュージーランドの若武者コンビが開幕戦を含むシーズン2勝をあげるなどの活躍の末に、見事ビッグタイトル獲得を果たした。レクサス勢としては2年連続の戴冠、トムス(TOM'S)チームとしては8年ぶりのGT500ドライバーズ王座獲得となっている。

GT500チャンピオン:平川亮のコメント
「チェッカーを受けた時は(自分自身)もっと喜ぶのかなと思っていたんですが、それよりもホッとしたという感じで、言葉が出なかったですね。ホッとした、という印象が本当に強いです。一年間、チームはミスがなく、ニックもいい仕事をしてくれました。LC500は常に速くて強いクルマでしたし、ブリヂストンタイヤもすごくいいパフォーマンスを発揮し続けてくれました。完璧なシーズンだったと思います。みなさんに感謝したいですね」

GT500チャンピオン:ニック・キャシディのコメント
「ホッとした、というのは僕も同じ。レクサス、そしてトムスに本当に感謝したい。自分はGT500参戦2年目だけど、チームが僕を信頼してくれた。だから、それを絶対に裏切らないように、という気持ちで一年間戦ってきたんだ。ノーミス、ノーコンタクト(ノーアクシデント)を心がけて、アタックするところと抑えるところを理解して走ってきたつもりだ。そして我々のリレーションシップはすごく進化してきた。支えてくれた全ての人々に感謝している」

おそらく来季は彼らが栄光のカーナンバー「1」を纏って戦うことになるのだろう。2017年規定マシンへの移行で優位を築いたレクサス勢、その新たな旗手コンビとしての連覇達成(レクサスV3)に期待がかかる。もちろん、他のレクサス勢も黙ってはいないし、ニスモを筆頭にした日産勢、そしてホンダ勢もさらに反撃してくるなかで、若いふたりが名門トムスとともに今度はディフェンディングチャンピオンとしてどんな戦いを演じるのか、今から楽しみである。

最終戦のGT500クラス決勝3〜6位は以下の通り(#6 LC500は最終的に決勝13位)。

3位 #38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)
4位 #17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&小暮卓史/BS)
5位 #100 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴&伊沢拓也/BS)
6位 #46 S Road CRAFTSPORTS GT-R(本山哲&千代勝正/MI)

来季2018年のSUPER GTは、今季同様に国内7戦+タイ戦の全8戦が開催される予定。4月7〜8日の岡山国際サーキット戦で、その幕を開くこととなる。

初王座を獲得した平川亮とニック・キャシディ。《撮影 益田和久》 決勝スタート。先頭の2台はフォーメーションラップで接触し、既に傷を負っている。《撮影 益田和久》 最終戦で勝利を得たのは#23 GT-R。《撮影 益田和久》 最終戦のGT500クラス表彰式。《撮影 益田和久》 決勝3位の#38 LC500。《撮影 益田和久》 決勝4位の#17 NSX。《撮影 益田和久》 決勝5位の#100 NSX。《撮影 益田和久》 決勝6位の#46 GT-R。《撮影 益田和久》 タイトル有力候補の一角だった#6 LC500。《撮影 遠藤俊幸》 #6 LC500は最終戦決勝13位。《撮影 益田和久》 #64 Epson Modulo NSX-GT(今季の鈴鹿1000kmウイナー)は、エプソン販売の時計ブランド「TRUME」をメインにした特別カラーリングで最終戦に臨んだ(決勝10位)。《撮影 遠藤俊幸》 #23 GT-Rは最終戦でポール・トゥ・ウインを果たす。《撮影 遠藤俊幸》 DTMマシン3車も決勝パレードラップに参加。《撮影 遠藤俊幸》 警察部隊の後ろにDTMマシン、そしてセーフティカー、GT500艦隊が続くパレードラップ。《撮影 益田和久》 王者となった#37 LC500陣営、左から関谷正徳監督、平川、キャシディ。《撮影 遠藤俊幸》