ボルボ XC60 T5 Inscription《撮影 宮崎壮人》

ボルボのインテリアは、加速をつけながらどんどんよくなる気がする。車内に入ったとたん、女心をとらえて離さない。ウッドの使い方のよさは言わずもがなであり、シルバーパーツの使い方の上品なこと。ハンドルを握ったときの手になじむ太さ。ヘッドレストのデザインに至るまで計算された美しさ。

エンジンスタートのイグニッションキーをはじめ、ボルボは『XC90』から、一気にHMI(Human Machine Interface)を変えてきた。これまで安全を念頭に計算されつくしていたはずの歴史をすべて壊し、新たな使い方を提案した勇気には拍手を送ったものだが、その後、この『XC60』になり、さらに磨きがかかってきた感じだ。

ただ、唯一、不満に思うのはルームミラーの位置である。ルームミラーの奥、フロントウィンドーにカメラセンサーを入れたお弁当箱(失礼)がはりつけられているのだが、その厚みのためにルームミラーがかなり手前にきている。私のドラポジで運転していると、前方視界からルームミラーに視点を移そうとすると、視線移動だけではしっかりと確認することができず、頭ごと動かす必要がある。慣れの問題かもしれないが、ほんの少し不便を感じた。

2リットル+ターボのトルクのある加速と、8ATはなめらかで、とても気持ちよく走れる。特に、ACCを使いながら高速道路を走行中、追い越し車線に車線変更するときが秀逸で、ウィンカーを右に出したとたんシフトダウンして(状況によってはしない)トルク感がぐっと出て、じわりと加速を開始する。できるだけ速やかに右車線に出て追い越しを終えたいと思うドライバーの感覚にぴったりで、とても使いやすいのだ。さまざまな運転支援装置が装備されるようになってきたけれど、この細かな配慮までできてこそ、まさに支援なのだと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

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