いいものをいいと言って、なにが悪い。すでにもう開き直りたい気分だ。フロントのナンバープレートが中央ではなく、向かって右側に付けられているのを見ただけで、アルファらしいと大きくうなずいてしまう。もっともイタリア人は「この美しいクルマの顔に、なにダサいナンバープレートをつけているのよ」と、怒りそうだけれど(主語が大きすぎた。私の知っているイタリア人たちと訂正しよう)。
隙のない華麗なデザインは、インテリアでも同じ。運転席に座ってまわりに目をやると、革とウッドとメタルパーツとブラックの、バランスのよさと質感にうっとりする。つつつーっと指でなぞって、あちこち触れて、そのオーラを放つ質感を直接、肌で感じたくなる。ハンドルの握り心地、独特なウィンカーレバーのタッチ感、そして、パドルシフトの触り心地。パドルシフトはプラスとマイナスの表示がくりぬいてあって、やっぱり、へえ〜と、指でさわって確かめたくなる。
エンジンをかけると同時に、女心を鷲掴みにするエンジン音。けれど、走行中は必要以上に自己主張することなく、遮音性のよさがうかがえる。デザインも質感もこれだけ作りこまれたクルマだというのに、パワステは不意を突かれるほど軽い。そして、それに応じてコーナリングでもハンドルをわずかにきっただけで、シャープでシビアに向きを変えていく。それでも不安にならないのは、サスペンションとボディ剛性のよさだ。
クイックに車線変更しても、ぴたっと安定した状態を保ちって不安にさせない。高速にもっていくと、今まであれだけ軽かったパワステがいきなりずしりと重くなる。街中では軽く駐車しやすく、高速では横風にもふらつかない安定した手ごたえ。ものすごく上手なパートナーに社交ダンスに連れ出されたようで(踊ったことないけれど)、ヘタな運転でも見事に気持ちよさを引き出してくれる巧みさ。
これで惚れなくて、どうしろというのだ。このクルマに似合う身のこなしができるようになりたいと、本気で思いましたよ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。
【アルファロメオ ジュリア 試乗】いいものをいいと言って、なにが悪い…岩貞るみこ
2017年11月01日(水) 20時00分
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