パナソニックの津賀一宏社長《撮影 山田清志》

パナソニックは10月31日、2017年度第2四半期(4〜9月)の連結決算を発表した。それによると、売上高は前年同期比9.0%増の3兆8578億円、営業利益は同10.4%増の1965億円、当期純利益は10.9%減の1189億円だった。

オートモーティブや二次電池を含むエナジーなどの車載事業や、産業向けデバイス事業の成長によって、第1四半期に引き続いて増収、営業増益を達成できたものの、通期の業績見通しは売上高7兆8000億円(同6.2%増)、営業利益3350億円(同21.0%増)、当期純利益1600億円(同7.1%増)を据え置いている。

「不安定要素があるので、いま上方修正を確定的にできる状況ではない。好評値をボトムに上積みを図っていきたい」と津賀一宏社長は話す。

その大きな要因となっているのが、社運をかけて進めているテスラ向け電池の誤算だ。パナソニックはテスラとリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」を共同運営してるが、順調に稼働できていないのだ。

「テスラが『モデル3』の立ち上げに苦戦している関係で、電池の生産がクルマの生産を上回り、これ以上の電池を生産できない状況にある」と津賀社長。そのため、電池を使途を蓄電用に切り替え、蓄電池用電池を生産している。

それだけに、テスラに依存しすぎていいのかという指摘も出ている。それに対し、津賀社長は「二次電池は、テスラ向けのほかに、車載向けの角形と、18650と呼ぶ円筒形のパソコン向けバッテリーを使った蓄電池がある。この3つをバランスさせながら事業を進めていく。もちろん、テスラへの投資が大きいため、リスクが増すのは事実だが、テスラとの契約によってシルクヘッジが可能になると考えている」と説明する。

下期からはテスラ向けが急速に立ち上がっていくと見ているが、果たしてその通りにいくのか。モデル3の7〜9月の生産台数がたったの260台だっただけに、予断を許さない状況と言っていいだろう。

決算会見の様子《撮影 山田清志》