ハリケーンコマは、同社のキッズセミナー「まわる学校」で体験してもらっているもの。(東京モーターショー2017)

ボールベアリングのトップメーカーであるNTN。「ウチはベアリングのボールから内製しているので、精度には自信があるんです」と語るのはNTN自動車事業本部ドライブシャフト技術部副部長の後藤竜宏氏。

ボールベアリングの要とも言えるボールだが、外注している軸受けメーカーがほとんどなんだとか。「だから、こうしたこともできるんですよ」と見せてくれたのがハリケーンコマだった。これはベアリングのボールを2つ、スチール製のピンを圧入することで連結したもの。指で弾くとかなりの時間回り続ける。重量と形状の精度が高くなければ、2つを組み合せただけでこれほど長く回り続けることはできないんだとか。

また同社はベアリング技術を活かして等速ジョイント式ドライブシャフトの生産も行っている。等速ジョイントのおかげでFF車は普及できた訳だが、この等速ジョイントも実用化されて50年ほどの歴史がある。「そこでドライブシャフトの進化を体感して欲しくて、ドライビングシミュレータを作りました」。

そのシミュレータに実際に体感させてもらうことにした。スタートすると、まずクルマの仕様は等速ジョイント導入前のユニバーサルジョイントを採用したFF車の走りに。これはサスペンションがストロークすると角加速度(瞬間的な回転速度)が変わってしまうため、左右で回転差が生じてトルク伝達にも左右差が生じることからステアリングがとられやすく、非常に走りにくい。苦労しながら左右にパイロンをかわしてスラロームしていく。やがて、等速ジョイント採用のクルマに進化、すると走行は格段に滑らかになり、運転も快適になった。

最後に未来の仕様へと進化。すると自動運転になり、微震動も皆無に。ステアリングから手を放しても道なりに走行を続けてくれるといった具合だ。EVになってもドライブシャフトを採用するクルマは残るが、インホイールモーターの登場によって絶対数は減るだろう。同社がインホイールモーターを開発しているのは、ドライブシャフトが不要になっても生産規模を確保するための成長戦略の一環と言えそうだ。

ボールベアリングのボールを、ピンを圧入することで連結。これだけで、驚くほど良く回る。(東京モーターショー2017) ドライブシャフトシミュレータは、等速ジョイントの有無によって、どれほど走りやすさが変わるか疑似体験できる。(東京モーターショー2017)