独特のスタイルになった『C3』。全長は3.99mを切るコンパクトさだけれど、存在感は圧倒的だ。運転席に座ったあと、ドアを閉めようと手を伸ばした先にあるドアハンドルは革。効率や使い勝手を追及する世界から解き放たれる自由さが手に伝わってくる。
しかし、サイドミラーを合わせようとすると、スイッチはハンドルの奥にあり、ドラポジをとると手が届かない。ミラーを見る〜スイッチで角度を変えるを繰り返さなければならないという、デザイン優先である。さらに、シフトインジケータはセンターパネルの下の方にあり、すぐ手前にはドリンクホルダー型の小物入れがある。高さのあるものを置いたら、インジケータ見えないんですけれど。というか、スポーツモードスイッチ、押せませんよね?という具合。デザイン、自由だ。自由すぎる。
それよりも気になったのは、こもり音である。私のこもり音許容範囲が狭いことは自覚しているけれど、それを抜いても、このこもり方はちょっと、と思う。エンジンオブザイヤーを3年連続で獲得したという3気筒の1.2リットル+ターボエンジン。6ATだが、どうもこのATとの組み合わせがよくない。
街中を走っていると、4速にしろ5速にしろ1600〜2200回転で走ろうとするのだが、2000回転以下になったときの、振動と耳の鼓膜を圧迫するこもり方がつらい。さらに、高速道路を走らせると、6速で80km/h程度、しかもわずかに上り坂のときに、アクセルをそうっと一定に踏みつづけると、ハンドルが細かく振動して手がしびれるような感じすらある。フランスでは、MT中心に乗られているのだろうが、日本はAT社会。この振動ぶりはなんとかしていただきたいものである。
とっても不快。そう思いながらクルマを降りて振り返る。すると、キュートでポップなスタイルが視界に入る。うーん、可愛い。女性がダメンズに惹かれるのは、脳科学的に証明されているらしいが、これだけこもり音がつらくても、C3のデザインにやられてしまう自分がいるのが、ちょっと情けない。かくなるうえは、街中はスポーツモードに入れて常に2000回転以上をキープし、高速道路はマニュアルモードにして走ろう。そうすれば、あのこもり音は回避できるのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。
【シトロエン C3 試乗】“ダメンズ”でも可愛さにやられてしまう自分がいる…岩貞るみこ
2017年10月23日(月) 20時00分
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