難しいコンディションでの戦いとなったタイ戦。《撮影 益田和久》

現地8日にタイのチャン国際サーキットで今季第7戦を終えたSUPER GT。残すは最終戦のみだが、GT500、GT300両クラスともタイ戦でポイントリーダーが入れかわった。TOM'S 37号車の平川亮&N.キャシディ、初音ミクAMGの谷口信輝&片岡龍也がそれぞれ首位で最終戦に向かう。

微妙な天候のもとでの戦いとなったタイ戦のレースウイーク。このレースをドライバーズポイントリーダーとして迎えていた陣営は、GT500の#23 日産GT-Rが決勝9位、GT300の#65 メルセデスAMGは無得点と、いずれも厳しい結果に。両陣営とも前戦鈴鹿1000kmでランク首位に躍り出たが、残念ながら1戦でその座を明け渡すことになった。そしてGT500では優勝した#37 レクサスLC500が、GT300では2位に入った#4 メルセデスAMGが逆転でポイント首位に立っている。

11月の最終戦もてぎを前に、ドライバーズタイトル獲得圏内にはGT500が5陣営、GT300が4陣営残ることになった(下記、タイトル条件等はすべて手元計算)。

<GT500クラスドライバーズランク上位>
69点 #37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N.キャシディ/BS)
63点 #6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&A.カルダレッリ/BS)
61点 #23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/MI)
53点 #36 au TOM'S LC500(J.ロシター※/BS)
51点 #38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/BS)
※36号車は中嶋一貴がWECとの日程重複で1戦欠場しているため、ロシターとはポイントが異なる。

<GT300クラスドライバーズランク上位>
65点 #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝&片岡龍也/YH)
56点 #51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一&坪井翔/BS)
52点 #65 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹&蒲生尚弥/BS)
46点 #55 ARTA BMW M6 GT3(高木真一&S.ウォーキンショー/BS)

(タイヤはBS=ブリヂストン、MI=ミシュラン、YH=ヨコハマ)

最終戦では優勝〜10位に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1点が与えられ、ポールポジションにもドライバーズポイント「1」が入る(ポール得点はチーム部門には計上されない。チーム部門には最大3点の「完走点」あり)。

まずGT500だが、今季最速のレクサスLC500勢が4台残った。いずれもBSユーザーである。タイでリーダーの座を失ってランク3番手に下がったMI装着の#23 GT-Rだが、最終戦が原則全車ノーハンデの戦いになることを考えると、今季のマシンの潜在的なスピード差から見て、追い込まれたと言わざるを得ないだろう。

BS装着レクサス4台の戦いも、実質はタイ戦で1位と2位だったランク上位2台、#37と#6の争いか。#36と#38は首位との点差が大きい印象だ。

そしてトップ2の状況だが、仮に追いかける#6が最終戦でポール・トゥ・ウインを達成し、#37が2位だったケースを想定すると、ともに84点で並ぶ。その場合は優勝回数の差で#37が逃げ切る理屈になるので、#6には自力逆転の可能性がなく、#37の平川&キャシディは2位で自力王座決定という立場にあるのだ。点差以上に有利な状況といえるだろう。

一方のGT300クラスは、車種的にはメルセデスAMGが2台、BMW M6とレクサスRC Fが各1台残った。タイヤ的にはYHが首位で、これをBS勢3騎が追っている。

#4 初音ミクAMGには9点のリードがあり、こちらも追いかけるランク2番手の#51 RC Fが最終戦でフルマークを得た場合でも、2位で自力王座決定の権利を有する。やはり点差以上に優位といえそうだ。

ランク3番手の#65 AMG、4番手の#55 BMWは点差的に見て厳しい。波乱の展開になれば話も違ってくるが、順当なら、#4 初音ミクAMGの王座獲得を阻めるとすればタイで優勝した#51 RC F、ということになるのだろう。自力逆転の権利がないとはいえ、首位とはマシンもタイヤも違うだけに、#51 RC Fにはもてぎで形勢を大きく変えられる可能性も存在する。

タイヤで、という部分ではGT500クラスのランク3番手、レクサス勢以外で唯一のGT500タイトルコンテンダーとなった#23 GT-Rにとってはミシュランという“個性”が頼みの綱だ。レクサスLC500の圧倒的スピードで開幕した今季、途中でシリーズ首位に立っただけでもミラクルといえる活躍の#23 GT-R。あきらめない戦いで、最後にもう一度ミラクルを引き起こすか。

なおチーム部門のタイトル争いは、GT500がドライバーズ同様に上記5陣営、そしてGT300は#55を除く上記3陣営に獲得の可能性が残っている。

大注目のSUPER GT最終戦はツインリンクもてぎが舞台、開催日程は11月11〜12日だ。決勝レース距離は今季最短の250kmだが、いろいろな要素が詰まった“スピードクライマックス決戦”になる。

タイで優勝、GT500クラスのポイント首位となった#37 LC500。《撮影 益田和久》 タイでは2位、ポイントでもGT500クラス2位という状況の#6 LC500。《写真提供 TOYOTA》 タイでポイントリーダーの座を失った#23 GT-R。GT500クラスのランク3番手で最終戦へ。《撮影 益田和久》 タイで2位、#4 AMGはGT300クラスポイントリーダーに浮上した。《撮影 益田和久》 タイで優勝した#51 RC FはGT300クラスのランク2番手に。《写真提供 TOYOTA》 タイでポイントリーダーの座を失った#65 AMG。GT300クラスのランク3番手で最終戦へ。《撮影 益田和久》 昨年亡くなったプミポン前国王への弔意も示されるなどした、今季のSUPER GTタイ戦。《撮影 益田和久》