トヨタ・ヤリスWRCの#11 ハンニネンがスペイン戦で4位に。《写真提供 TOYOTA》

8日、世界ラリー選手権(WRC)第11戦「ラリー・スペイン」がフィニッシュを迎え、トヨタ・ヤリスWRCを駆るユホ・ハンニネンが4位に入った。優勝はシトロエンのクリス・ミーク。2位に入ったMスポーツ・フォードのセバスチャン・オジェがドライバーズタイトル獲得に近づいた。

9月はラウンドがなかったWRC。ここからの終盤3戦、スペイン〜英国〜オーストラリアは中2週、中2週での日程で、一気にシーズン閉幕へと向かう。その端緒となる第11戦は、非舗装路(グラベル)と舗装路(ターマック)のミックスサーフェスイベント、スペイン戦である。

トヨタ勢は今回も3台のヤリスWRCで参戦。しかし、#10 ヤリ-マティ・ラトバラは早期にトラブルでリタイアし、#12 エサペッカ・ラッピも最終日にアクシデントに起因するリタイアとなり、今季優勝経験者のふたりが思うような成績を残せない展開に。

そこで渋い活躍を演じたのが、トヨタの今季ワークス参戦復帰以前からヤリスWRCの開発主担ドライバーであった#11 ユホ・ハンニネンだ。しっかりラリーを走り抜き、2戦連続の4位入賞を果たした。ここ3戦、ハンニネンは3位-4位-4位と安定して上位リザルトを残し続けている。

#11 ユホ・ハンニネンのコメント
「結果には心から満足しているよ。昨日と今日は、自分のこれまでのキャリアのなかで最も楽しく感じられた2日間だった。ヤリスWRCはターマックでとても走りやすく、タイムを出すために大きなリスクをおかす必要がなく、クルマを信頼して走ることができた。私は長い間ラリー・スペインには出場していなかったけど、それでも上位争いに加われたことは私にとって非常に重要なことだと思う」

チームを率いるトミ・マキネンも、リザルト以上の手応えを感じてスペイン戦を終えている。

チーム代表 トミ・マキネンのコメント
「4位というユホの結果を嬉しく思います。金曜日のグラベルでは3名のドライバー全員が苦戦しましたが、ターマックでのヤリスWRCのパフォーマンスは非常に高く、ユホは本当に素晴らしい走りをしてくれました。チームの不断の努力が結果となって表れ、報われたことも喜ばしいです。最終日の朝のエサペッカのリタイアは残念ですが、きっと彼はこの週末から多くを学んだことでしょう。ヤリ-マティの戦いが早々に終わってしまったことも残念でしたが、クルマのポテンシャルは充分に高いと思えたラリーでした」

スペイン戦を制したのはシトロエンC3 WRCの#7 クリス・ミーク。彼とシトロエンにとっての今季2勝目となっている。これで今季のWRCは11戦を終えて、Mスポーツ・フォードが4勝、ヒュンダイが3勝、トヨタとシトロエンが各2勝と、4大トップ陣営がいずれも複数勝利をあげることとなった。

ドライバーズチャンピオン争いは、今回2位に入った#1 セバスチャン・オジェ(Mスポーツ・フォード)が198点にポイントを伸ばしたのに対し、前戦終了時点でランク2位だった#5 ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)は2戦連続の手痛い無得点。ヌービルはランク3位に後退し、今回3位の#2 オット・タナク(Mスポーツ・フォード)がランク2位に浮上することとなった。首位との差はタナクが37点、ヌービルが38点。次戦の結果次第で、最終戦を待たずにオジェがVW時代からの連覇を5に伸ばす可能性も現実味を帯びてきたといえそうだ。

WRC第12戦「ウェールズ・ラリーGB」は10月26〜29日に開催される。

4位に入った#11 ユホ・ハンニネン。《写真提供 TOYOTA》 #12 ラッピは最終日にリタイアを喫してしまう。《写真提供 TOYOTA》 今季途中から3台体制での戦いを続けているトヨタ陣営。《写真提供 TOYOTA》 スペイン戦優勝の#7 ミーク(シトロエン)。《写真提供 Red Bull》 優勝のミーク(右)と、コ・ドライバーのポール・ネーグル。《写真提供 Red Bull》 スペイン戦2位の#1 オジェ(Mスポーツ・フォード)。《写真提供 Red Bull》 表彰台に上がった3組6名。オジェ(左端)は王座に接近。《写真提供 Red Bull》