国産では貴重となった2シータースポーツクーペの『フェアレディZ』が2017年7月にマイナーチェンジを受けた。
今回のマイナーチェンジではヘッドライトまわりのデザインを変更。またブラック塗装で切削光輝加工を施した「19インチアルミ鍛造ホイール」の採用などが行われた。MT車はクラッチの変更も行われているが、今回の試乗車は7速のATモデル。
走り出すと、ワイドトレッドタイヤ特有のどっしりした乗り心地を感じる。路面の不整に対してサスペションは積極的に動き、追従をはかる。タイヤサイズはフロントが245/40R19、リヤが275/35R19と極太なので、低速ではタイヤの重みを感じるが高速道路に向かってランプウエイで加速し始めたころからその安定感はグンと高くなる。とくに感動的なのはコーナーが回り込んでいて、奥に行くほど横Gがたまるようなシチュエーション。クルマがベターっと路面に張り付くような感じでコーナーをクリアしていく。
搭載されるVQ37VHRは3.7リットルのV型6気筒自然吸気エンジンで、最高出力は336馬力、最大トルクは365Nmを発生。アクセル操作に対するトルク発生のリニア感がよく扱いやすい。大排気量エンジンにありがちなレスポンスの悪さはなく、思うように軽快に吹け上がってくれる。
フェアレディZはアメリカがメインマーケットなので、コーナリングが不得意な直線番長と思われがちだが、決してそのようなことはなく、そのコーナリング性能は高レベルで、ワインディングでも十分にハンドリングを楽しめるモデルとなっている。
クルマ好きにとって2シーターモデルはあこがれの的で、一度は乗ってみたい、所有してみたいと思うタイプのクルマだが、実用面などを考えるとなかなか踏み切れないクルマという現実がある。そうしたなか、2シーターモデルのフェアレディZを日本で販売し続ける日産の心意気に感心。同時にフェアレディZに乗ることも、同じく大きな意義を持つこととなるはずだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
【日産 フェアレディZ バージョンST 試乗】数少ない国産2シータークーペに乗るという意義…諸星陽一
2017年10月09日(月) 09時00分
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