ホンダ N-BOX G・EX ホンダセンシング《撮影 島崎七生人》

全体をパーン!と大きなひとつの“張り”で見せていた先代に較べ、新型のスタイルはD社やS社との横並び感が強まった。先代のピュアな佇まいが気に入っていた隠れNシリーズファン(?)としては少々複雑な思い…というのは正直なところ。

インテリアではエンジンの始動ボタンが、なぜかコラム右手の低く奥まった場所に(シフト右手に、上向きに空いたスペースがあるのに)。インパネは運転席/助手席それぞれのテリトリーを中央で重ねたデザインだそうだが、かえってややせせこましく、小さいクルマはもっとシンプルなほうがいいのでは?と感じた。

とはいえ、そんないくつかの“個人の感想”を抜きにすれば、クルマ自体はとてもよく出来ていると感じた。とくに走行時の快適性はなかなかの高さだ。軽量化を図ったというがボディが頑強な手応えがあるし、ハイトワゴンながら低重心な安定感も実感できる。加速時や速度が高い状態での耳障りなノイズはさり気なく低く、室内全体の静粛性がスッと高く保たれていて、気になる微震動もほとんどない。路面状況、走行状態(曲がる、直進する)によらず乗り心地はフラットなのも安心感につながる。

2本あるAピラーの前方側を細くしたという視界は、自然で広い。ドラポジだが、従来は高い方向に30mmの調整幅だったそうだが、新型は基準レベルの上下に25mmずつ、計50mmの調整を可能にしたのだそう。小柄なレポーターには低いほうは相当沈み込む感じだが、イマドキのスラッと長身のパパさんなら、ポジションに不満を覚えなさそう、だ。

床が理屈抜きで低いのもいい。シートはシンプルな操作でスライド、折り畳み、チップアップができ、操作レバーが握れるか、指先4本が入る大きさなのも操作しやすくていい。ハンズフリースライドドアの設定がありがたいし、床が低く、グリップも握りやすいため、クルマの開口部形状を意識せず、自然体で乗り降りができる。

新開発エンジンのうち試乗車はNA(58ps/65Nm)でCVTの組み合わせだったが、動力性能にも不満は感じない。回転を上げてもストレスのないエンジン音で、不快なメカノイズも気にならなかった。何事かクルマのクセを意識せずに走らせていられるから、普段使いにもふさわしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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