メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》

メルセデス・ベンツ日本はメルセデスマイバッハ『Sクラス』の予約を開始。9月より順次納車が開始される予定だ。8月に発表されたメルセデスベンツ『Sクラス』の改良に準じたものである。

◇メルセデスマイバッハの前史

現在メルセデスマイバッハは、メルセデスベンツブランドの傘の下で、「究極のハイパフォーマンスを追求するメルセデスAMGと並び、究極のエクスクルーシブ性を追求する威厳と風格を備えたブランドとして位置している」と紹介するのはメルセデス・ベンツ日本代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏だ。

マイバッハの創業者、ウィルヘルム・マイバッハはダイムラー社のエンジニアとして革新的なアイデアを数多く世の中に送り出してきた。その後ダイムラー社を退職し1909年に自らの会社、マイバッハ・モトーレンバウGmbHを設立。

マイバッハを語る上で欠かすことの出来ないエピソードとして、飛行船ツェッペリン号へのエンジン供給が挙げられる。ウィルヘルムの息子、カール・マイバッハが設計したエンジンは、直列6気筒のレイアウトで、整備性が非常に高く、飛行中でも修理・調整することが可能であった。その信頼性の高さが評価され、鉄道や船舶にもマイバッハエンジンは採用されていった。

1929年に登場した『タイプ12』は150馬力を発生する排気量7リットルV型12気筒エンジンを搭載し、企業のトップや高級官僚に向けたプレミアムクラスの自動車として販売を開始した。V型12気筒エンジンはその後登場する『ツェッペリンDS7』などにも採用され、マイバッハを象徴するエンジンといえる。

2002年、当時のダイムラークライスラー社は、Sクラスを超える、より個性あるプレミアムカーという市場からの要望に応えるべく、マイバッハブランドを復活させ、マイバッハ『57』や『62』を発表。2012年、マイバッハは一度ラインから落とされるが、2014年にメルセデスベンツのサブブランドとして再び市場に登場し現在に至る。

◇メルセデスマイバッハのいま

メルセデスマイバッハブランドになって以降、Sクラス以外に様々なモデルが登場した。ひとつはメルセデスマイバッハ『S600プルマン』だ。全長6.5メートルまで伸ばし、後席を対面4座仕様としたモデルで、昨年9月に完全受注生産モデルとして発表。

また、本年1月にはメルセデスAMG『S65カブリオレ』をベースに、クラシカルなデザインと専用装備を盛り込んだ、世界で300台、日本では4台の限定モデル、メルセデスマイバッハ『S650カブリオレ』を発表。「メルセデスマイバッハの世界観を体現したモデルだ」と上野氏はいう。

そして本年3月のジュネーブモーターショーでは、メルセデスマイバッハ『G650ランドレー』という、ブランド初のSUVモデルが登場した。ランドレーの名の通り、後席部分のみオープンになり、上野氏は「悪路でもオープンエアドライブを楽しむことが出来る」と話す。

コンセプトカーとしては、昨年8月にペブルビーチでのコンクールデレガンスで公開された『ビジョンメルセデスマイバッハ6』が挙げられる。これは、2シータークーペで全長5.7mの堂々としたボディに、各ホイールを電動モーターで駆動するという、「伝統と最先端技術を融合させた電気自動車のコンセプトカーだ」(上野氏)。また本年の同コンクールデレガンスでも、『ビジョンメルセデスマイバッハ6カブリオレ』が登場。「さらにラグジュアリーを追求したモデルとして、多くのお客様を魅了した」という。

そして上野氏は、「メルセデスマイバッハは、これからもお客様に究極のラグジュアリーをお届けしていく」とコメントした。

◇20センチ伸ばされたホイールベースは全て後席の快適性のため

メルセデスマイバッハSクラスは、Sクラスのロングモデルよりさらに20センチ長いホイールベースを備え、しかもその延長分を全て後席乗員の快適性向上のためにあてることで、ゆったりと、そして余裕のある後席空間を実現している。そのリアシートは左右ともにオットマンを備え、43.5度までリクライニングが可能なエグゼクティブシートを採用。

また優れたエアロダイナミクスにより、風切り音の低減と、後席を大きく囲む遮音材、特殊なシーリング技術などにより、量産車として世界最高レベルの後席の静粛性を実現しているという。

そのほか、ホットストーン式リラクゼーション機能を含む6種類のマッサージプログラム、左右のフロントシート背面には、10インチ大画面モニターと、ワイヤレスヘッドホンによる移動中でも映画やテレビ番組などを楽しめる、リアエンターテインメントシステムを装備。アームレストなど手に触れる部分を快適な温度に温める各種ヒーターや、冷たい飲み物は保冷し、温かい飲み物は保温する温冷切替機能を備えたドリンクホルダーなどを含め、高級素材をクラフトマンシップで丹念に仕上げたインテリアが、その快適性をさらに高めている。

Sクラスと同様に最新の安全運転支援システム、“インテリジェントドライブ”や通信機能を備える“テレマティックスサービス”も備えられた。

エクステリアの変更点は、Sクラス同様光ファイバーによる3本のラインが特徴的なヘッドライトを採用したほか、「フロントバンパー下部が新しく専用デザインになった」とは、メルセデス・ベンツ日本営業企画部商品企画1課マネージャーの木下潤一氏の弁。具体的には 横に通る一本のクロームが、AMGラインではないSクラスと似たデザインを採用。「クローム仕上げの細工も異なっている」という。また、ノーマルでは横方向に通るクロームラインが途中で折り返すデザインになっているが、マイバッハSクラスでは「綺麗に一本横に入っている。それにより、より水平基調を強調し幅広感を演出。威厳を醸し出している」と述べる。

またバンパーのエアインテークの縁取りが全てクローム仕上げとなっているほか、フロントグリルにマイバッハのロゴ入りエンブレムが付加された。ホイールに関しても、デザインが鍛造のディッシュホイールを採用され、Bピラー周りのクローム仕上げもノーマルモデルとは違っている。木下氏は、「このように一点一点細部にまでこだわって作られており、全体で見ると(Sクラスと比較し)大きく印象の違うクルマに仕上がっている」とコメントした。

2015年、Sクラスマイバッハになって以降、「日本では400台ほどが販売された」と木下氏。そのユーザーのほとんどは法人で、ショーファー付きである。「複数台保有の方が多く、他社のショーファー付きのクルマも持っており、そこにもう1台ということでマイバッハを購入する方もいる」といい、Sクラスマイバッハ選択理由は、「Sクラスが持っている安全性や、メカとしてのしっかり感などが評価されている。ショーファーカーの中でこれだけ最新の技術を満載しているクルマはほかにはない」と語った。

メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ Sクラス《撮影 内田俊一》 1909年マイバッハ・モトーレンバウGmbHを設立《撮影 内田俊一》 飛行船ゼッペリン号とカール・マイバッハ《撮影 内田俊一》 マイバッハ ツェッペリンDS7《撮影 内田俊一》 マイバッハ 57と62《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ S600プルマン《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ S650カブリオレ《撮影 内田俊一》 メルセデスマイバッハ  AMG650ランドレー《撮影 内田俊一》 ビジョンメルセデスマイバッハ6《撮影 内田俊一》 ビジョンメルセデスマイバッハ6カブリオレ《撮影 内田俊一》 メルセデス・ベンツ日本代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏《撮影 内田俊一》