東レコーテックスが展示した熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)《撮影 山田清志》

東レの100%子会社である東レコーテックスは材料と技術の展示会「エヌプラス2017」(13〜15日、東京ビッグサイト)に画期的な素繊維強化プラスチック(CFRP)を展示。これから本格的に売り込んでいくという。

CFRPといえば、鉄の5分の1ほどの比重ながら強度は2倍という特徴を持つ素材だ。そのため、スポーツ用品をはじめ、航空機、自動車、橋梁などさまざまな分野で使われるようになってきた。しかし、CFRPには大きな弱点があった。それは成形に長い時間がかかるということ。

CFRPは炭素繊維とエポキシ樹脂を型に貼り込んでいき、窯に入れて熱と圧力を加えながら成形する。冷却時間を入れると、製品になるまで6〜8時間もかかってしまう。それを簡単にしたのが、東レコーテックスが今回の展示した熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)だ。

なんと10分以内で製品に成型できるという。しかも、今まで使っていた成形機でつくることができるのだ。なんでも同社が独自に開発した特殊アクリル樹脂によって可能になっているとのことで、エポキシCFRPと同等の強度を誇る。さらに衝撃強度はエポキシCFRPの2倍もあり、耐光性や接着性にも優れているという。

「ここ1年ぐらい引き合いが相次いでいます。特に多いのが家電、スポーツ、建築業界です」と東レコーテックス関係者。

ただ、すべての面でCFRPより優れているというわけではない。耐熱性がCFRPより弱く、複雑な形状の加工には向かないのだ。「おそらくCFRPとは棲み分けが進んでいくと考えています。新しい分社の製品なので、特に市場を絞らずに幅広く売り込んでいこうと考えています」と同社関係者は話していた。

東レコーテックスが展示した熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)《撮影 山田清志》 熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(CFRTP)の特徴を示したパネル《撮影 山田清志》