トヨタ自動車の北米事業体であるToyota Motor North America(TMNA)は9月6日(米国時間)、北米で改善活動を支援するNPO法人「トヨタプロダクションシステム・サポートセンター(TSSC)」の25周年式典を実施した。
TSSCは、トヨタの経営哲学であるTPSの社外への応用を通じて地域社会に貢献することを目的として1992年に設置。それ以降、NPO法人化を経て、製造業だけでなく、公的機関や医療機関のほか、災害復興や被災者への食料支援に取り組む非営利団体など、300以上の支援先にTPSのノウハウを共有し、オペレーション上の課題解決やリソーセスの最大活用、雇用の維持・創出につながる改善活動などの支援に取り組んできた。
2012年、ハリケーン・サンディーの被害を受けたニューヨーク市では、食料支援を行うフードバンクとともに、被災者に対する食料配給の体制を改善。トラック1台で運搬できる食料を1.5倍に増大、梱包時間を3分から11秒に短縮したほか、配給時間を60%削減した。
2005年には、米国南東部を襲ったハリケーン・カトリーナの被害で壊滅した住居の再建プロセスの見直しや効率化として「セントバーナードプロジェクト」を実施。一軒あたりの建築にかかる時間を12週間から6週間に短縮した。
また、米国の家具メーカーであるハーマンミラー社では、キャビネット移動棚の製造工程を改善。生産ラインにおけるムダの削減により、生産設備の床面積と在庫数を削減する一方、一週間の生産台数を6000台から8000台に増加したほか、受注から出荷までにかかる時間を60時間から4時間以下に短縮した。
TSSCは、今後、これまでの支援先に加えて、新たに建設業や小売業などの他産業やサービスにおいても、TPSを応用した改善活動に取り組んでいく。また、北米での活動にとどまらず、2016年4月にはオーストラリアにもTSSCを立ち上げるなど、地域のニーズに応じて活動範囲を拡げている。
トヨタ、北米で300以上の企業・団体の「カイゼン」を支援
2017年09月07日(木) 11時15分
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