日産リーフ新型発表会《撮影 高木啓》

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。


2017年9月7日付

●フル充電東京-滋賀、日産リーフ全面改良,走行距離4割増400キロ(読売・8面)

●新型アルファロメオ「ジュリア」10月発売(読売・8面)

●高齢者免許導入へ走る、警察庁、「安全サポート車限定」基準作り(読売・31面)

●渋滞観光地、一般道で課金できる? 鎌倉・京都が候補、国交省。今秋にも実験(読売・7面)

●エンジン不要、下請けに危機感、打倒トヨタ、EVシフト、日産リーフ全面改良(朝日・81面)

●車関税巡り進展見られず、「原産地規制」NAFTA再交渉(朝日・9面)

●1年9か月ぶり「アクア」が首位、8月国内新車販売(毎日・7面)

●250ccバイク販売好調、若者がデザインを支持(毎日・7面)

●検証圏央道、首都高から転換、都心の渋滞緩和(産経・23面)

●7月名目賃金14か月ぶり減、ボーナス減、消費に影(日経・5面)

●輸入車販売8月5.5%増、独アウディなど好調(日経・13面)

●「ENEOS」統一国内シェア4割、JXTGなお成長遠く(日経・13面)

●カーナビから自動運転へ、パイオニア、高精度センサー小型化(日経・14面)


ひとくちコメント

千葉市にあるイベントホールの「幕張メッセ」といえば、2009年まであの東京モーターショーが開かれた、往年の自動車ファンにはおなじみの会場でもある。その幕張メッセで、日産自動車が約7年ぶりに全面改良した電気自動車(EV)新型『リーフ』の発表会を10月2日の発売に先駆けて行った。

日産の新車発表会は、これまで横浜の本社ビルで開くことが多かったが、新型リーフは「ワールドプレミアイベント」として世界中に発信するだけに、幕張メッセのような広々としたスペースが必要だったとみられる。

何しろ、午前中の報道関係者向けの新車説明会では、世界各国から150人以上という海外メディアの姿も多くみられた。午後の販売店など取引先関連の説明会を含めて約5000人を招待、地盤沈下がささやかれる東京モーターショーをはるかに上回る豪華で大規模なイベントだった。

さて、きょうの紙面に目を向けると、企業情報を伝える経済面は各紙とも「リーフ全面改良」をトップ記事として取り上げている。説明するまでもなく、新型リーフの特徴は、大容量の電池を搭載したことで1回のフル充電当たりの走行距離を400kmと、現行の2倍近くに延ばしたこと。

各紙とも「新型リーフより遠くまで」(東京)や「フル充電で400キロ」(産経)、さらに「EV普及実用性の時代」(日経)などと、走行距離を焦点に充てている。なかでも読売は「フル充電東京→滋賀」との大見出しで「1回の充電で、単純計算で東京から滋賀県まで走れる」と伝えている。読者にわかりやすく表現したつもりだろうが、記者が実際に試乗したわけでもないのは誤解を招く。

そんな中、比較的冷静な見方をしているのが朝日と毎日。朝日は「打倒トヨタEVシフト」とのタイトルで、「環境規制の追い風を受けるEVは車づくりを変える潜在力を持つが、消費者が受け入れるかはまだ未知数だ」と指摘。

毎日も、幕張メッセの会場で説明した製品開発担当の坂本秀行副社長の「普及には今のコスト水準ではダメ。ガソリン車のレベルはまだ遠く、充電時間とともに今後の課題だ」とのコメントを取り上げている。

余談だが、新型リーフのプレゼンテーションには、4月に就任したばかりの西川広人社長がホスト役としてあいさつ。まるで新社長披露パーティを兼ねているようにも思えた。2010年、逆風の中EV戦略を大胆にアピールしたカルロス・ゴーン会長の姿は会場内では見当たらなかった。