首都高速1号羽田線の約1.9km区間を新設更新するため、第1期となる上り線迂回路を設置。《撮影 石田真一》

首都高速道路会社は6日、今月14日から供用を開始する1号羽田線の迂回路を公開した。供用開始から53年が経過し、劣化の進む羽田線の施設について長期の通行止めを行うことなく更新していくためのもの。最新の技術が結集している。

1号羽田線の浜崎橋ジャンクション〜鈴ヶ森ランプまでの区間は東京オリンピックを控えた1963年までに開通。同時期に開通した東京モノレールと並ぶように京浜運河沿いに片側2車線の桟橋部を配置してきたが、開通から53年が経過した現在も大型車の通行量が多いことや、海水の浸食でコンクリート構造物の急速な劣化が確認できたこともあり、約1.9km区間(桟橋部=1.3km、埋立部=0.6km)ついては大規模なリニューアルを実施。道路施設を新設して更新することになった。

ただし、交通の要所であって長期の通行止めは困難なことから、既存の桟橋と平行するような迂回路を新設。まずは上り線を迂回路に通し、既存の上り線施設を撤去するとともに、上り線の高架橋区間を新たに設置。これが完成したら下り線を上り線施設へ暫定的に移し、今度は下り線の既存施設を撤去…といった手順で約10年を掛けて更新していくという。2020年の東京オリンピック開催時には上り線(迂回路)、下り線(上り線施設の暫定使用)まで工事が進む計画となっている。迂回路は約6年間に渡って使用し、最終的には解体する計画だ。

工期を短縮し、天候に関係なく作業を進めるため、迂回路には工場で生産されたコンクリートのプレキャスト材を多用している。また、将来的に高架橋を上部へ通すため、中間点に架かっていたアーチ型の水管橋もトラス型の低いものに架け替えるなど、約1.9km区間に最新の工事技術を結集させている。

新設される効果区間は耐震性に優れ、運河の水面からは2-17mの高さとなる。既存の桟橋部は干潮時の2-3時間しかメンテナンスできなかったが、新設される構造物は点検用の通路を設置するなどしてメンテナンスのしやすさも考慮した。

これまで運河(水路)の一部だった場所に迂回路を設置した。《撮影 石田真一》 上り線をこの迂回路に移し、既存の上り線施設は解体。同じ場所に新しい上り線の施設を作る。これが既存区間との合流部。《撮影 石田真一》 1号羽田線は交通量も多く、長期間の通行止めが行えないためにこの措置が取られた。《撮影 石田真一》 既存区間は桟橋構造だったが、迂回路と新設施設は高架となる。下部に作業用道路も確保。《撮影 石田真一》 工期を短縮するため、迂回路には工場生産のプレキャスト材が使われている。持ち込んで並べるだけなので、現場での型枠作業の必要がなくなるという。《撮影 石田真一》 今回、更新される約1.9km区間は1963年までに開通。約53年間使われてきた《提供 首都高速道路》 海水の運河に面している桟橋は劣化がかなり進んでいた。干潮時の2-3時間しか保守点検ができないというのもネックだったという。《提供 首都高速道路》 迂回路建設前の埋立部。鮫洲運転免許試験場の裏あたりとなる。《提供 首都高速道路》 迂回路が建設された後の風景。《提供 首都高速道路》 大井ジャンクションはこのように切断され、ここは長期の通行止めとなっている。《撮影 石田真一》 運河の上に大きな桟橋を作って作業スペースを確保している。《撮影 石田真一》 橋の下を通り抜けるため、アップダウンが続く。新設される区間は両方の橋の上を通ることに。《撮影 石田真一》 2つのアーチ橋で構成されていた水管橋の片方をトラス型に架け替えた。将来的には上部を新設の高架橋が突き抜ける。《撮影 石田真一》