高速道路(イメージ)

中央防災会議の作業部会が、地震予知を前提とした災害対策の見直しを求める報告書をまとめたことで、高速道路の地震対応も見直しを迫られている。

東海地震を含む南海トラフ地震など大規模地震の予測について「予測可能性の現状を踏まえると、大震法(大規模地震対策特別措置法)に基づく現行の地震防災応急対策は改める必要がある」との報告をまとめた。大震法は東海地震の予知を前提として1978年に成立した。観測網で地震の前兆を捉え、首相が地震発生前に「警戒宣言」発令し、それをきかっけに道路の通行規制、鉄道の運休、休校など、対象地域でさまざまな対策が講じられることになっていた。

中日本高速は東海地震が予測される地域を東西に走る東名、新東名などの高速道路を管理する。大震法における対応はどうなっているのか。

「警戒宣言が出された場合は『強化地域への流入を制限するとともに、強化地域内におけるインターチェンジ(IC)などからの流入を制限するもの』と明記されている」(同社広報担当)

中日本が行う措置は、次の3つだ。
・強化地域内IC、高速道路への一般車両の流入制限
・強化地域内の本線走行車両については自由走行
・強化地域外から地域内に流入しようとする一般車両は、その手前のICで強制流出

避難者を始めとした大移動が始まることが予測される警戒宣言。この予測が難しいとされるわけだから、実は深刻なことだ。

一方で、ICなどに設置した同社の地震計の計測震度に応じて通行止めを行う対策も行っている。
「計測震度4.5、または5.0以上の場合に通行止めを行う。地震発生時に円滑な交通を確保する必要がある場合や首都圏の高速道路との統一を図る必要がある場合、5.0が基準となる」(前同)

今回の報告書は予知を前提とする防災対策の見直しを求めたものだが、同時にそれが完了するまでの「当面の措置の策定とその周知」の必要性を訴える。防災の日が近い今、高速道路利用者も考えてみる必要がありそうだ。